2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540557
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大堺 利行 神戸大学, 理学部, 助教授 (00194118)
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Keywords | 油水界面 / 電子移動 / 反応機構 / 速度定数 / フェロセン / ルテチウムビフタロシアニン錯体 / 金属微粒子 / グルコースオキダーゼ |
Research Abstract |
先の研究によって,ニトロベンゼン相中のフェロセン(Fc)と水相中のFe(CN)_6^<3->との間の電子移動(ET)反応が,水相中でのhomogeneousなETによるイオン移動(IT)メカニズムであることが示されていたが,なぜ界面でのheterogeneousなETが起こりにくいかについて,理論的考察を行った。油水界面でのheterogeneousなETの拡散律速の速度定数を,均一溶液中の二分子反応に関するSmoluchowski理論の拡張によって評価したところ,これを頻度因子としてマーカス理論から見積もった速度定数が,実験で得られた電流値を説明するには小さすぎることがわかった。また,heterogeneousなETの場合,界面においてオングストローム程度の反応場の厚さしかないことが,水相中での数百μmもの厚さの反応場をもつITメカニズムに比べて不利であることが推論された。 実験面では,油相中のredox種をFcよりもより疎水性なジメチルフェロセンおよびデカメチルフェロセンに替え,同様にボルタンメトリーによる研究を行った。その結果,前者のFc誘導体では,Fcと同様にITメカニズムに従い,極めて疎水性である後者の誘導体では,heterogeneousなETが観察された。また,非常に疎水性であるルテチウムビフタロシアニン錯体(LuPc_2)を用いたところ,やはりheterogeneousなETが観察された。このように疎水性のredox種を用いた場合,"真"のETが観察されたが,これはredox種の界面吸着がETを容易にしているためだと考えられる。実際,交流インピーダンス法による界面の微分容量測定によって,LuPc_2が界面吸着することが明らかになった。 なお,Ptなどの金属微粒子を分散させた寒天ゲル/ニトロベンゼン界面でのETや,酸化還元酵素(グルコースオキシダーゼ)の触媒作用に基づく油水界面ETなどの新たな反応系を見いだし,反応機構の解明を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Sawada: "Complete Electrolysis Using a Microflow Cell with an Oil/Water Interface"Anal. Chem.. 74・5. 1177-1181 (2002)
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[Publications] H.Hotta: "Electron-Conductor Separating Oil-Water (ECSOW) System : a New Strategy for Characterizing Electron-Transfer Processes at the Oil/Water Interface"Electrochem. Commun.. 4・5. 472-477 (2002)
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[Publications] 青柳重夫: "イオン移動ボルタンメトリー用四電極式測定システムの性能評価"Electrochemistry. 70・5. 329-333 (2002)
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[Publications] A.G.Volkov: "Interfacial Catalysis"Marcel Dekker, Inc.. 680 (2002)