2002 Fiscal Year Annual Research Report
非線形性を指標とした化学分析法による共存物質の応答評価
Project/Area Number |
14540559
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
中田 聡 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (50217741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 雅晴 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (20314289)
松山 豊樹 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (70202330)
柳沢 保徳 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (90031591)
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Keywords | 非線形 / センサ / 非平衡 / 界面 / 混合系 |
Research Abstract |
これまで開発されてきた化学センサでは、一般にセンサからの直流電圧(一次元情報)が化学物質の定性・定量の指標として用いられてきた。ところが、センサ応答が共存物質の影響を受ける場合、この一次元的な情報だけで特定成分の定性・定量を行うことは原理的に不可能である。また化学分析として幅広く使用されているクロマトグラフィーは、試料をカラムで分離した後、各物質の定性・定量が行われるため、この共存物質の効果は含まれていない。そこで本研究では、非線形応答を指標とした化学分析法として、複数成分系における個々の物質の定性・定量に加え、共存物質の効果を評価する新規な化学センサの開発を行った。本研究期間では、半導体ガスセンサの非線形応答を活用した、2成分ガスの定性・定量と共存による応答の実験と解析を行うとともに、共存物質の応答の計算機シミュレーションにより物理化学的な評価を行うことを目的とした。 まず、2成分混合ガス系に関する実験を行い、非線形応答を指標として個々のガス種の定性・定量を行うと同時に、センサ応答に含まれるガス種間の競争的応答の評価実験を行った。その結果、混合ガスの組み合わせの違いによるセンサ応答が、3つのパターン(選択的・増幅・抑制)に分類されることがわかった。 次に、センサ表面でのガス種の反応機構を明らかにするために、ガスクロマトグラフィーによるガス種の反応過程のモニターと分光器での吸着測定を行ったところ、センサ表面とバルク間の中間層の存在が重要であることがわかった。これらの現象を、非線形の拡散反応方程式により、計算機シミュレーションを行ったところ、実験結果を定性的に再現することができ、中間層での反応が、センサ応答の履歴現象に関っており、それらが特異的応答に反映されることがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Hayashima, M.Nagayama, Y.Doi, S.Nakata, M.Kimura, M.Iida: "Self-motion of a camphoric acid boat sensitive to the chemical environment"Physical Chemistry Chemical Physics (PCCP). 4. 1369-1392 (2002)
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[Publications] S.Nakata, Y.Doi, Y.Hayashima: "Intermittent motion of a camphene disk at the center of a cell"Journal of Physical Chemistry. B106. 11681-11684 (2002)
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[Publications] S.Nakata, H.Kitahata, A.Terada, T.Matsuryama: "Mode-switching in the flow of water into a cup"Chemical Physics Letters. 351. 379-384 (2002)
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[Publications] S.Nakata, K.Neya, T.Hashimoto: "A semiconductor gas sensor based on nonlinearity : utilization of the effect of competition on the sensor responses to gaseous mixtures"Electroanalysis. 14. 881-887 (2002)
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[Publications] S.Nakata, T.Hashimoto, H.Okunishi: "Evaluation of the responses of a semiconductor gas sensor to gaseous mixtures under the application of temperature modulation"Analyst. 127. 1642-1648 (2002)
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[Publications] Satoshi Nakata, Yukie Doi: "Mode-emergence in the synchronized sailing of camphor boats"Advances in Complex Systems. (In press).
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[Publications] Satoshi Nakata (editor): "Chemical sensor based on nonlinearity"NOVA scientific publications(In press). 300