2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540571
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 正人 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
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Keywords | ショウジョウバエ / 低温耐性 / 高温耐性 / 分布 / 北限 / 南限 |
Research Abstract |
分布を決定する要因としてはまず温度耐性が挙げられる。本研究では、札幌、東京、西表島より得られたショウジョウバエ29種について、分布の北限、南限と低温耐性、高温耐性との関係について調べた。23℃で飼育した羽化後8日目のメス成虫について、低温(-8〜10℃)および高温(28〜35℃)に24時間曝した場合の死亡率を求め、その結果より半数致死温度を算出し、温度耐性の指標とした。 その結果、低温耐性はより北方まで分布する種ほど低く、低温耐性がショウジョウバエの北限を決定している重要な要因であることが分かった。しかし、低温耐性と北限は完全に一致している訳ではなかった。キハダショウジョウバエ、オウトウショウジョウバエは、低温耐性が低いにも関わらず、北海道まで分布していた。これらのハエは人家のような暖かい場所で越冬しているか、それとも毎年南方から移動してきていると考えれた。トビクロショウジョウバエも低温耐性が低いが、このハエは札幌近郊では優占種であり、本種がどのように越冬しているかについては不明である。ヒメホシショウジョウバエとフタオビショウジョウバエは比較的低温耐性が高いにも関わらず、北海道には分布していない。北海道には、これら2種とニッチの似た低温により強い種が分布しており、これらの種との競争により北海道には分布できない可能性がある。 一方、分布の南限と高温耐性にはなんの関係も見い出されなかった。むしろ、より南方まで分布する種ほど低温耐性が低くなる傾向が見られた。このことから、低温耐性を獲得すると、それにともなうトレードオフにより、南方の環境で不利になると考えられた。
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