2004 Fiscal Year Annual Research Report
侵入害虫アリが日本の在来生物相に及ぼす影響と分布拡大メカニズムの解明
Project/Area Number |
14540579
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
伊藤 文紀 国立大学法人香川大学, 農学部, 教授 (50260683)
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Keywords | アルゼンチンアリ / 侵入害虫 |
Research Abstract |
16年度も廿日市市内および周辺市町村においてすでに設定してある調査地点でアルゼンチンアリ・そのほかの外来アリ類・在来アリ類の分布調査を継続し、外来アリの分布拡大状況、在来アリ群集の経年変化を明らかにし、本種が確実に分布を広げていること、さらに本種の侵入地で在来アリの種多様性が低下していくことがあきらかになった。また、廿日市市の市街地に隣接する森林でアリ相の定量採集を実施し、本種が森林内にも侵入していること、森林性在来アリ類の多様性も市街地と同様に低下していることなどがあきらかになった。しかし、森林性アリの大多数を占める地中性アリ類に対する影響は軽微だった。市街地でアルゼンチンアリの影響をうけやすいクロヤマアリと近縁なハヤシクロヤマアリは、アルゼンチンアリが侵入した森林では少なくなり、アルゼンチンアリと市街地でしばしば共存しているサクラアリと同属のアメイロアリは、森林内でアルゼンチンアリと共存する傾向があった。捕食性生物に対する影響を調査するため、ニホンアマガエルの食性を明らかにするとともに、室内で各種アリ類に対する選好性も調査し、アルゼンチンアリはカエルによく捕食されるものの、カエルにとっての栄養的価値は低いらしいことが示された。また、本調査の過程で、汎世界的に分布している外来侵入アリであるトカラウロコアリを調査する機会に恵まれ、本種には雄がおらず、未交尾の女王が処女生殖によって働きアリや女王になる卵を産む希有な生態を有することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)