2003 Fiscal Year Annual Research Report
樹幹枝直径変動の多点同時計測とシミュレーション計算による幹枝間の水分配様式の把握
Project/Area Number |
14540585
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
依田 清胤 石巻専修大学, 理工学部, 助教授 (30254832)
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Keywords | 直径変動 / 樹液流 / コンピュータシミュレーション / 幹・枝 / 根系 / 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
本研究はモンペリエ(フランス南東部)の北側約10kmに位置するアグロフォレストリー試験場で実施された。本研究の目的は、水平根と垂直根からなる根系を構築するJuglansについて、根・幹・枝における水分動態を把握することである。 この試験場において2002年11-12月に実施した予備調査の結果を受け、2003年7月に調査個体を選出し、すでに露出された状態の水平根2本に直径計測器を設置して予備計測を実施し、計測系の制度・安定性を確認した。その後、個体基部の土壌除去作業を行い、すべての水平根、垂直根を露出させ、枝、幹の樹冠内部と基部、水平根3本、垂直根の合計7箇所に直径計測器を設置し、2003年7-8月にかけて、直径変動を計測、記録した。 いずれの計測部位も連続的な肥大成長と直径の明瞭な日周変動(収縮と膨張)を示した。地上部では、肥大成長量、旧周変動幅ともに明らかな部位(サイズ)依存性が認められた。一日あたりの肥大成長量は枝>樹冠内部>幹基部の順であった。一方、日周変動幅は幹>樹冠内部>枝の順で、日肥大成長量に見られた順位とまったく逆であった。地下部では、日周変動幅は地上部と同様のサイズ依存性が認められ、太い順に水平根1>水平根2>水平根3>垂直根となっていた。しかし日地肥大成長量は水平根1>水平根3>水平根2>垂直根となり、日肥大成長量と日周変動幅のあいだに地上部で見られたような負の相関性は認められず、むしろ両形質ともに太い根ほど大きな値を示す傾向にあった。 このような直径変動の振る舞いの相違から、地上部と地下部で水分動態が異なることが示唆された。また地上部と地下部の内部形態に関する比較解析を実施するとともに,樹木の季節成長を考慮した直径変動の計測と周辺環境(気温、湿度、風速、放射、土壌の温度と含水量)との関連性に関する情報の集積が必要であることが示された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 依田清胤, Dupraz C, Lecoueur J, Dauzat J: "クルミ(Juglans nigra L.x regia L.)の根・幹・枝およびヒマワリ(Helianthus annuus L.'Albena')の茎・葉柄の直径変動"石巻専修大学研究紀要. 15. 49-56 (2004)