2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞内におけるアクチン系細胞骨格の高次構築機構の解明
Project/Area Number |
14540599
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
横田 悦雄 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助手 (80212299)
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Keywords | アクチン結合タンパク質 / ビリン / アクチン / カルシウムイオン / 花粉 / カルモジュリン |
Research Abstract |
ユリ花粉から精製した植物ビリンであるP-135-ABPとG-アクチンとの相互作用を、蛍光ピレンでラベルしたG-アクチンを用いた蛍光分光法によって解析した。P-135-ABPは、カルシウムイオンとカルモジュリン(Ca^<2+>-CaM)存在下で、アクチンの重合の初速度を増大させることが明らかになった。また重合後のアクチン繊維の長さを計測した結果、Ca^<2+>-CaM存在下でP-135-ABPを加えることによって繊維の長さが短くなっていた。昨年度の研究成果とこれらの結果から、P-135-ABPは動物のビリンと同様に、カルシウム依存的にG-アクチンと結合し重合を促進すること。また重合後もP-135-ABPはアクチン繊維の端に結合した状態を保つことによって、繊維どうしのアニーリングを阻害していることが明らかになった。 また、ピレンでラベルしたアクチン繊維に、Ca^<2+>-CaM存在下でP-135-ABPを加えると繊維の脱重合速度が増大した。それとともに、繊維の長さも短くなっていた。これらの結果は、P-135-ABPはカルシウム依存的な脱重合活性も有していることを示唆している。現在この脱重合活性が、動物ビリンと同様に切断によるものであるのかどうか検討しているところである。 最近高等植物花粉において、ゲルゾリン様タンパク質の存在が示唆されてきている。シロイヌナズナ遺伝子のデーターベース内には、ゲルゾリン遺伝子は存在しない。また、これらのタンパク質は植物ビリンの抗体と反応することなどから、ビリン遺伝子のスプライシングによって発現すると考えられている。ところが、ユリ花粉から調製した粗抽出画分中にはビリン抗体と反応するゲルゾリン様タンパク質は存在しなかった。従って、ゲルゾリン様タンパク質というのは、精製過程においてビリンが分解されたことによって生じた人工産物である可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)