Research Abstract |
ウズラの松果体のメラトニンリズムを指標として,概日リズムに関与する光受容体の同定を行った。また,種々の生理活性物質の脳内の局在について免疫組織化学を用いて検討した。さらに,ヤツメウナギを用いて,種々の光受容体の応答性を電気生理学的に検討した。セロトニン,バソトシン,VIP,GnIH,GnRHなどを用いた免疫組織化学により,脳,視床下部におけるこれらの生理活性物質を合成するニューロンの同定とそれらの間の神経連絡について多くを明らかにできた。これらの物質のうち,ロート核のガラニン陽性細胞は,短日条件でその数が多く,長日条件で有意に少ないこと,また,室傍器官-ろーと核のセロトニン細胞数は,短日明期において,短日暗期,長日明期,長日暗期よりも有意に多かった。従って,これらの場所のセロトニン陽性細胞数及びガラニン陽性細胞数が光周期あるいは日周期によって影響されることが明らかとなった。また,これらの細胞はGnRH陽性細胞およびGnIH陽性細胞と連絡をしており,これらの生理活性物質が光周期-生殖腺系の制御に関与していることを強く示唆している。 イモリの脳内ステロイドホルモンの局在について,免疫組織化学的に明らかにするとともに、脳内プロゲステロンが季節変化と日周変化を示すことを明らかにした。また,光周期がこれらの脳内ステロイドホルモンの変動に関与していることも明らかとなった。さらに,眼,松果体,脳深部光受容体がそれぞれ脳内ステロイドに変動に関与していることも明らかになった。 ヤツメウナギにおいては,松果体にロドプシンの他に紫外線感受性視物質,赤感受性視物質,緑感受性視物質などの存在を免疫組織化学およびIn situ hybridization法により明らかにした。電気生理学的に種々の波長の光に対する応答を記録したところ,紫外線応答性の細胞が電気生理学的応答とともに,色素注入法と免役組織化学の併用により明らかとなった。 以上,鳥類,両生類,円口類などの脊椎動物において多光受容体-多概日振動体の関係について多くの知見が得られた。
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