2003 Fiscal Year Annual Research Report
両生類におけるフェロモン受容メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
14540634
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
豊田 ふみよ 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10244708)
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Keywords | 両生類 / フェロモン / 雌誘引物質 / 嗅上皮 / 性ホルモン / プロラクチン / アルギニンバソトシン |
Research Abstract |
雄イモリ肛門腺より単離・同定されたペプチド性雌誘引物質"ソデフリン"の中枢での生理的作用を解明することを目的として研究を行った。前年度までの研究で、雌誘引物質の受容器官と確認された雌嗅上皮の各部位で雌誘引物質を作用させた結果、鼻腔外側部において最大の電位変化(嗅電図応答)が生じることを確認しており、さらに、この部位にDiIを注入したところ、副嗅球への投射を確認している。このことは副嗅球がイモリフェロモンの第一次中枢である可能性を示唆ている。今年度、副嗅球およびその周辺部における神経細胞において雌誘引物質に対する応答性がみられることを電気生理学的手法(細胞外および細胞内記録法)により確かめた。現在、さらにその応答性と応答部位における応答細胞の分布状態や形態などに注目し、詳細な解析を進めることにより、副嗅球でフェロモン情報がどのように処理されているかを明らかにしようとしているところである。また、ホルモン(性ホルモン、プロラクチン)が生殖行動の発現に重要な働きをすることが従来より知られているが、本研究で新たに内因性アルギニンバソトシン(脳下垂体後葉ホルモン)が求愛行動発現に関与することをアルギニンバソトシンアンタゴニストを用いて明らかにした。またアルギニンバソトシンは脳に作用して雄求愛行動を引き起こすことを脳室内投与法によりつきとめた。アルギニンバソトシンはまた、同時に腹腺からの雌誘引物質の分泌にも関与することを確かめた。
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[Publications] Toyoda, S., Yamamoto, K., Ito, Y., Tanaka, S., Yamashita, M.f Kikuyama, S.: "Involvement of arginine vasotocin in reproductive events in the male newt Cynops pyrrhogaster."Hormones and Behavior. 44(4). 346-353 (2003)
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[Publications] 豊田ふみよ, 菊山榮: "イモリのフェロモンと生殖行動"遺伝. 別冊16. 92-99 (2003)