2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540636
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
菅原 美子 帝京大学, 医学部, 講師 (20082191)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑名 俊一 帝京大学, 医学部, 講師 (70129998)
|
Keywords | 弱電気魚 / モルミルス / 発電(EOD) / エコー行動 / 電気受容器 / 電気感覚 / 電気感覚葉(ELL) / 随伴放電(EOCD) |
Research Abstract |
弱電気魚モルミルスは相手の放電(EOD)による電場の混信を避けるために混信回避行動を行う。放電周波数を自由に変える得るパルス型放電種では,エコー行動,あるいは相手のEODに対し一定間隔を保って放電するPLRを行う。最も極端な場合は,9-16msの間隔をあけて追従放電を行い,逆平行姿勢(Anti-parallel display)をとる。数回の行動で群内順位が決定する。これらの行動の行動発現までの神経機構はわかっていない。本研究の最終目標は,この行動の発現までの過程を,(1)3種類の電気受容器での感覚情報抽出と一次感覚葉での並列情報処理,(2)上位中枢での並列情報処理と統合,(3)EOD周波数と行動を決定する発電系へのフィードバックについて神経解剖学的および神経生理学的に明らかにすることである。 電気感覚系では,相手魚のEODタイミング,強度,位置は3種類の電気受容器で検出され,それぞれ別の神経回路網で情報抽出される。一次感覚葉では,随伴放電(EOCD)や上位中枢からの下行性入力により制御される。今年度の研究成果では,以下の2点が明らかになった。(1)in vivo標本での電位感受性色素を用いた光学的測定実験から,モルミロマスト受容器からの入力を受ける一次感覚中枢(脳幹・電気感覚葉)では,二次感覚ニューロンに情報伝達されるときONおよびOFFタイプのニューロン群に伝達が起こり,それぞれのニューロン群が交互に並んでいることが示された。またグリシン受容体は上行性の情報伝達において,興奮の時間的制御を行っていることが示唆された。(2)電気刺激を与えEODを測定するin vivo行動実験からは,EODから50-100msの潜時で刺激が与えられたとき,特徴的な行動(放電停止,追従放電)が引き起こされ,繰り返しにより潜時は短くなった。このことは,学習過程の存在も示唆した。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Sugawara, Y., Kuwana, S., Okada, Y., Yoshida, H.: "Effects of glycine on the firing of the electrosensory lateral line neurons in a weakly electric fish"Comparative Biochemistry and Physiology. 134A(1). 233 (2003)
-
[Publications] Sugawara, Y., Kuwana, S., Okada, Y., Yoshida, H.: "Does glycine receptor modulate the ascending sensory transmission in the electrosensory lateral line neurons of a weakly electric fish?"The Japanese Journal of Physiology. 52(Suppl). S126 (2002)
-
[Publications] Kuwana, S., Okada, Y., Sugawara, Y., Obata, K.: "Respiratory responses to hypercapnia and hypoxia in neonatal GAD67 deficient mice"The Japanese Journal of Physiology. 52(Suppl). SS87 (2002)
-
[Publications] 菅原美子, 桑名俊一, 岡田泰昌, 吉田裕美: "延髄腹側表面へのニコチン局所投与に対する呼吸応答"第25回日本神経科学大会・予稿集. 予稿集. 205 (2002)
-
[Publications] 菅原美子, 桑名俊一, 岡田泰昌: "電気感覚葉ニューロンの情報伝達におけるグリシン受容体の修飾作用"第79回日本生理学会・予稿集. 予稿集. 147 (2002)
-
[Publications] 菅原美子, 桑名俊一, 岡田泰昌: "弱電気魚・電気感覚葉ニューロンにおけるグリシン受容体による感覚入力制御"第80回日本生理学会・第76回日本薬理学会年会・予稿集. 予稿集. 267 (2003)
-
[Publications] 菅原美子: "魚類のニューロサイエンス-魚類神経科学の最前線-植松一眞・岡良隆・伊藤博信編"恒星社厚生閣, 東京. 310(22) (2002)