2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540643
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永益 英敏 京都大学, 総合博物館, 助教授 (90218024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 章子 筑波大学, 生物科学系, 講師
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Keywords | 熱帯 / ボルネオ / マレーシア / ショウガ科 / 分類 / Alpineae |
Research Abstract |
本研究は地球上で最も陸上植物の多様性が高いといわれる湿潤熱帯地域における林床性大型草本類,特にショウガ科を主な対象にして,その分類学的研究を目的としている。平成14年度はショウガ科の4つの連のうち,ボルネオにおいてもっとも多様な進化を遂げたと考えられるAlpineae連を中心に解析した。 これまでにボルネオ島より収集し京都大学に保管している標本を整理・解析したのち,ヨーロッパの植物標本館に保存されているショウガ科の植物標本について,連合王国(キュー植物園,エジンバラ王立植物園),デンマーク(オーフス大学,コペンハーゲン大学)の収蔵標本調査を行った(酒井)。予定していたボルネオにおけるフィールド調査は十分に行えなかったが,ボルネオ島における生物多様性研究中心の1つであるサラワク森林研究所に保存されているボルネオ産のショウガ科標本を調査した(永益)。 その結果,サラワク州ランビル国立公園を中心とした地域に,すでに発表ずみのAmomum属12種を除いて6属23種のAlpineae連を確認し,そのうち5種が新種であることがあきらかになった。うち1種は,ショウガ科ではこれまであまり報告のない,花の2型性があることがわ.かった。各種について詳しく検討する過程で浮上してきた分類学上の問題点の解決を含め,ボルネオに生育するこの群のすべての種に言及した研究成果を学術誌に投稿中である。また,ショウガ科の系統において特異な位置を占め,ボルネオ島の限られた地域にのみ分布すると考えられていたTamijia属の新産地が標本調査の過程で明らかになった(投稿中)。平成15年度にはHedychieae連の解析を行う予定である。
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