2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヤドカリ類の種分化からみたインド-西太平洋の海洋生物地理とその成立過程
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14540654
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
朝倉 彰 千葉県立中央博物館, 動物学研究科, 上席研究員 (40250138)
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Keywords | Micropagurus / Diogenes / Tomopaguropsis / Parapaguridae / 日本海 / インド-西太平洋 / ヤドカリ / 異尾類 |
Research Abstract |
日本および主としてヨーロッパを中心とする世界各地の博物館の所蔵標本および最近航海調査によって得られた東京大学標本を調べ下記のことを明らかにした。 世界中から採集されたMicropagurus属のヤドカリ類の標本を調べ、新種M.propinquusおよびM.spinimanusを記載した。M.polynesiensisを再記載しM.vexatusは本種のシノニムであることを明らかにした。M.dvaneyiとM.acantholepisの標徴を記載した。 これまで日本海の潮間帯および浅海域から採集されたヤドカリ類を調べ、3科17属54種を同定した。この中には、1種の新種のツノヤドカリDiogenes(イザナミツノヤドカリ)が含まれる。これらの標本は主として富山市科学文化センターの所蔵標本、および京都府栽培漁業センターの本尾洋氏のコレクションによるもので、これにさらに国内外のいくつかの博物館の所蔵標本も調べたものである。これらのヤドカリ類の大部分は日本およびその近隣の温帯域に分布する種であるが、少数のインド-西太平洋に分布する種、および北太平洋に広く分布する種を含んでいた。 Tomopaguropsis crinita McLaughlin, 1997, T.miyakeiが、最近行われた東京大学海洋研究所白鳳丸航海および長崎大学長崎丸航海で、日本の南部海域から初めて採集された。この採集記録は、同属の日本初記録であり、またT.crinitaは日本初記録であると同時に、原記載のインドネシアに続いて2番目の産地であった。 オキヤドカリParapaguridae科は三宅(1998)により3属7種2亜種が日本から記録されているが、東京大学海洋研究所「淡青丸」「白鳳丸」、長崎大学「長崎丸」で採集された標本の調査をおこなってきて、結局これらの研究結果を合わせると、少なくもと6属15種が分布していることが確認された。
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