2002 Fiscal Year Annual Research Report
縄文人・アイヌ頭蓋の形態学的特異性とその由来-現生人類の変異・分化過程から探る
Project/Area Number |
14540659
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
埴原 恒彦 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (00180919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
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Keywords | 縄文人 / アイヌ / 頭蓋形態 / 現生人類 / 多様性 / 適応戦略 / シミュレーション |
Research Abstract |
縄文人・アイヌの形態学的特異性を近隣諸集団との比較だけから考察することは、数学で言えば不定形の解を与えてしまう恐れのあることは、むしろ今日までの研究成果かもしれない。そこで、本研究では、東アジア集団の分化過程を現生人類集団の拡散とその適応戦略という視点からもう一度洗いなおし、その中で、縄文人・アイヌの形態学的特徴がどのように位置づけられるのかを検討した。具体的には、世界のほぼ全域、158集団を比較対象とし、集団間の形態学的類縁関係を探ってみた。その結果、頭蓋の計測的特徴では縄文人・アイヌは東南アジア集団に類似するものの、非計測的特徴(頭蓋形態小変異)では、北東アジア集団に類似性を示す。さらに、わずかながら、オーストラリア集団、アメリカ先住民、さらにはアフリカ集団にも類似点が見出される。このことは、縄文人・アイヌが形態学的にかなり古い特徴を今日までととめている可能性を示唆する。そこで、最終氷期が終わるにつれて、東アジア各地で次々に認められる古人骨形態の現代化と、それとは対照的な縄文時代人、さらにはアイヌの後期旧石器時代人骨的特徴の残存を、日本列島の孤立化と合わせて考察できるか否かを検討した。この分析法は従来のmodel-free法に対して、model-bound法とも呼ばれる、一種のシミュレーション的な分析法、すなわち、集団の大きさ(人口)や移動、混血、あるいは形態の遺伝率を考慮した新しい分析法である。もし、大陸部と日本列島の過去における集団数(人口)が同じと仮定すれば、縄文人、アイヌという集団はアジア、太平洋地域に分布する集団とは大きく異なった形態を示すが、大陸部のほうが人口が多かったであろうことは容易に想像がつく。これを考慮して分析すると、縄文人やアイヌは中石器・新石器時代の東南アジア集団に近くなる。この結果は必ずしも縄文人の起源が東南アジアということを示しているのではないであろうが、彼が後期旧石器時代人的特徴を今日までとどめていることを示唆する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hanihara, T., Ishida, H., Dodo, Y.: "Characterization of biological diversity through analysis of discrete cranial traits"American Journal of Physical Anthropology. 121(in press). (2003)
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[Publications] Haga, T., Hanihara, T., Sunakawa H, Ishida H.: "Dental variation of Ryukyu islanders : a comparative study among Ryukyu, Ainu and other Asian populations"American Journal of Human Biology. 15. 127-143 (2003)
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[Publications] Hanihara, T.: "Craniofacial variation and diversification of East and Southeast Asians : Model-bound approach"Cambridge University Press (in press). (2003)
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[Publications] 埴原 恒彦: "骨から探る人類の歴史"朝倉書店「骨の辞典」(印刷中). (2003)
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[Publications] 埴原 恒彦: "日本列島の人類史"岩波書店「いくつもの日本I 日本を問いなおす」. 283 (2002)