2003 Fiscal Year Annual Research Report
ネアンデルタール人類と現代人骨格の形態変異 -デデリエ人骨の研究から-
Project/Area Number |
14540660
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 修 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40244347)
瑞慶覧 朝盛 琉球大学, 医学部, 助手 (70136901)
埴原 恒彦 佐賀大学, 医学部, 教授 (00180919)
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Keywords | ネアンデルタール / 頭蓋 / 小児 / 成長 / 現生人類の起源 |
Research Abstract |
デデリエ1号と2号を中心として、他のネアンデルタール人骨、さらには、スフール・カフゼーの幼児人骨の頭蓋の計測値を、現代人と比較検討した。方法は、単変量と示数である。現代人資料は、日本人に加えて、フランス人資料を文献から、用いた。目的は、ネアンデルタール人類の成長を調べ、現代人のそれと比較し、ネアンデルタール人類に固有の成長を明らかにすることである。 デデリエ1号と2号は、ともに、2歳くらいと推定されるが、その年齢ですでに、現代人とは、明らかに異なる計測項目が存在する。たとえば、高い眼窩、顔面の立体さ、広い犬歯間距離、大きい後頭骨、幅広い鼻骨などである。これらは、過去の多変量分析の結果と一致するものである。しかし、細かく見ると、咀嚼に関係する項目では、ネアンデルタールの計測値には、ばらつきがみられ、現代人と有意な差が見られない。また、2歳では有意差がなく、3,4歳から急激に大きくなる項目もあり、成長の問題とからめ、興味深い点が見られた。 ただし、デデリエ1号と2号の計測項目に絞るのではなく、ネアンデルタール人類一般に対象を広げ、重要な計測項目を選別し、さらに、現代人標本を充実させ、分析を深めていく必要性があると思われる。そのために、イギリスの幼児資料を追加し、文献的検索を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ishida H, Kondo O.: "The skull of the Neanderthal child remains of burial No.2."In : Akazawa T, Muhesen S, editors. Neanderthal Burials. Excavations of the Dederiyeh Cave, Afrin, Syria. Auckland : KW Publications Ltd.. 271-297 (2003)
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[Publications] Kondo O, Ishida H.: "The postcranial bones of the Neanderthal child of burial No.2."In : Akazawa T, Muhesen S.editors. Neanderthal Burials. Excavations of the Dederiyeh Cave, Afrin, Syria. Auckland : KW Publications Ltd.. 299-321 (2003)
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[Publications] Kondo O, Ishida H.: "The dentition of the Neanderthal child of burial No.2."In : Akazawa T, Muhesen S, editors. Neanderthal Burials. Excavations of the Dederiyeh Cave, Afrin, Syria. Auckland : KW Publications Ltd.. 323-335 (2003)
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[Publications] Kondo O, Ishida H.: "Ontogenetic variation in the Dederiyeh Neandertal infants : postcranial evidence."In (J.Thompson, A.J.Nelson, & G.Krovitz, Eds) Growth and Development in the Genus Homo, Cambridge : Cambridge University Press.. 386-411 (2003)