2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540662
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
榎本 知郎 東海大学, 医学部, 助教授 (80056316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花本 秀子 東海大学, 医学部, 助手 (50156824)
松林 清明 京都大学, 霊長類研究所・人類進化モデル研究センター, 教授 (50027497)
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Keywords | 大型猿人類 / ゴリラ / オランウータン / 精子形成 / 精上皮 / アポトシス / ライディヒ細胞 / セルトリ細胞 |
Research Abstract |
ヒトと大型猿人類で、精子発生の活性を比較検討する研究の一環として、今年度はゴリラとオランウータンの精巣標本の分析を行った。飼育され死亡したゴリラ(N=10)の精巣から通常の組織学標本を作製し、光学顕微鏡で観察、分析した。また、ライディヒ細胞は、ライディヒ細胞を免疫組織化学的にテストステロンを染色することで同定し、またアポトシスについても検討した。その結果、ゴリラの精巣は、以下の4点で、精子形成が不活発である様相が認められた。(1)10個体のうち4個体でしか精子形成が認められない、(2)精上皮は、精子形成が認められる標本でも薄い、(3)退縮した精細管がどの標本にも認められる、(4)異常な巨大合胞体細胞が精子形成の認められるすべての標本に認められた。これらの特徴は、ゴリラの精子形成が不活発であることを示している。一方で、間質は豊富で、そこに多数のライディヒ細胞が存在した。精細管が退縮し繊維化した標本では、ライディヒ細胞が紡錘形に変形したものが多かった。アポトシスは、精子形成がみられる標本では、精子形成の各段階の細胞に認められた。一方、精子形成が認められないものでは、セルトリ細胞までアポトシスを引き起こしている様相が認められた。 オランウータン(死亡個体N=4;バイオプシーN=2)の精巣標本も、ゴリラと同様に通常の組織学標本を作製し、テストステロンを施した。精細管上皮は、いずれの標本とも厚く、活発に精子形成を行っていた。精上皮のサイクルは6ステージを認めた。オランウータンの際だった特徴は、アクロゾームが大きいことである。これらの精巣の特徴は、各種の繁殖戦略を反映しているものと思われる。
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Research Products
(1 results)