2003 Fiscal Year Annual Research Report
量子計算機への応用を目指した、結合多重量子井戸中の電子スピン制御
Project/Area Number |
14550001
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 豊 山形大学, 工学部, 助教授 (00260456)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 量子計算 / 半導体量子井戸構造 / 結合2重量子井戸 / 2次元電子ガス / スピン注入 / スピン緩和 |
Research Abstract |
本研究では半導体中の電子スピンをqubitとする量子計算の可能性を検討した。これを実現するためには電子スピンが長時間保持される構造が必要とされる。本年度は昨年に引き続き半導体ヘテロ構造中のどの部分で著しいスピン緩和が起きているかを明らかにするために測定を行った。光励起後におきる電子のスピン緩和過程を(1)光励起直後のエネルギー緩和時(2)バルク部分の電界によるドリフト輸送時(3)バルク部分から量子井戸への捕獲過程以上3つの部分に分け、どの部分でスピン緩和が起きているかを判別できる構造を持ったInGaAs/GaAs系量子井戸サンプルを用い測定を行っている。この測定により判明した点は、光励起直後にバルクのバンド端までエネルギー緩和する過程でのスピン緩和は小さいこと、バルク部分をドリフト中のスピン緩和は印加された電界の大きさに依存し、電界が小さければスピン緩和は無視しうることが示された。また井戸への捕獲過程におけるスピン緩和は大きく、我々のサンプルでは全体のスピン緩和を支配していることが示された。(Japanese Journal of Applied physicsに掲載。)これはバルク部分から量子井戸へのスピン注入を行う際に大きな問題になるので、より詳細な検討を要する点であることが判明した。 量子計算における制御-Not Gateを実現するためには、隣接する電子スピン間に交換相互作用が必要になる。本研究では異なる層にある2次元電子ガス間の交換相互作用を利用することを提案し、その大きさを検討してきた。しかしながら、基礎的な考察の結果、隣接する2次元層中にある電子間の交換相互作用の大きさはきわめて小さいことが示された。十分な大きさの交換相互作用を得るために0次元系(量子ドット)の電子スピンをqubitとして使う必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yutaka Takahashi, Hitoshi Kawaguchi: "Strain-Dependence of the Gain Saturations in InGaAsP/InP Quantum-Well Gain Media"IEEE Journal of Quantum Electronics. 38・10. 1384-1389 (2002)
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[Publications] Y.Sato, M.Yamaguchi, Y.Takahashi, Y.Kawamura, H.Kawaguchi: "Spin relaxation measurement of the spin-polarized electrons during transport in GaAs using double-quantum well heterostructure"The European Conference on Lasers and Electro-Optics and the European Quantum Electronics Conference (CLEO/Europe-EQEC2003). EE1-4. (2003)
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[Publications] Y.Sato, Y.Takahashi, Y.Kawamura, H.Kawaguchi: "Electron spin relaxation during transport in GaAs"2003 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM2003). E-3-6L(in Abstracts). 306-307 (2003)
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[Publications] Yuuki Sato, Yutaka Takahashi, Yuichi Kawamura, Hitoshi Kawaguchi: "Field Dependence of Electron Spin Relaxation during Transport in GaAs"Japanese Journal of Applied Physics. 43・2A. L230-L232 (2004)