YbEr共添加ナノ微結晶Siにおける赤外発光のセンシタイゼイションに関する研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14550015
• Research Institution: Toyo University
• Principal Investigator: 小室 修二 東洋大学, 工学部, 教授 (90120336)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 森川 滝太郎 東洋大学, 工学部, 教授 (80191013)
• Keywords: ナノ微結晶薄膜 / Siナノ微結晶 / 希土類元素 / イッテルビウム / エルビウム / レーザーアブレーション

Research Abstract

今年度の研究実績は次のようにまとめられる。
1)Siに酸化イッテルビウムを1wt%添加したSi : Yb_2O_3(Yb添加量:7×10^<19>cm^<-3>)ターゲットを、1×10-^3Torrの酸素雰囲気中でKrFエキシマレーザーを用いたアブレーションを行い、Si基板あるいは石英基板上にZnO : Er薄膜を形成した。このアブレーション中に発生するレーザープルームを分光分析し薄膜形成におよぼすレーザー生成プラズマの活性種を同定した。その結果、原子ラジカル(Yb^*、Si^*、O^*)による発光線が支配的に観測され、Si:Yb薄膜は原子ラジカルによって形成されていることを明らかにした。
2)Si : Yb薄膜中に添加されたYb量を定量分析するために、蛍光X線分析を行った。その結果、ターゲットと作成された薄膜とにおいてほぼSi : Ybの比率が一致することから、ターゲット中のYb(7×10^<19>cm^<-3>)が、原子ラジカルのYb^*として基板に到達しSi : Yb薄膜中に添加されていることを確認した。
3)X線回折測定を行った結果、Si : Yb薄膜は、ナノ構造(nc-Si : Yb)を示していることが明らかになった。Ybを添加しない場合でも同様にナノ構造(nc-Si)が観測され、それぞれの粒径をシェラーの式より見積もった結果、30〜40nmであった。したがって、nc-Si : Yb薄膜は粒径約30nmのnc-Si:Ybにより構成されていることが明らかになった。
4)Ybの発光センターを活性化するために、nc-Si : Yb薄膜を大気圧の窒素雰囲気中で800℃、3分間の熱処理を施し、赤外発光スペクトルを測定した。鋭い輝線が0.980、1.036、1.091μmに観測され、これらはいずれもYb^<3+>の内殻遷移発光(^2F_<5/2>→^2F_<7/2>遷移)であることが明らかになった。また、発光スペクトルの温度依存性を測定した結果、室温においてもYb^<3+>の0.98μm発光が観測された。
5)Yb^<3+>の0.98μm発光の時間分解発光スペクトルを測定した結果、Yb^<3+>発光は励起後約300nsで立ち上がることを見出した。一方、母材のnc-Siによる発光は約1μmにピークを持つブロードなスペクトル形状を示し、その立ち上がり時間は数nsであり、Yb^<3+>発光よりも早いことを見出した。

Research Products

• [Publications] S.Komuro, T.Katsumata, H.Kokai, T.Morikawa, X.Zhao: "Change in photoluminescence from Er-doped TiO_2 thin films induced by optically assisted reduction"Applied Physics Letters. 81・25. 4733-4735 (2002)
• [Publications] H.Aizawa, N.Ohishi, S.Ogawa, T.Katsumata, S.Komuro, T.Morikawa: "Fabrication of ruby sensor probe for the fiber-optic thermometer using fluorescence decay"Review of Scientific Instruments. 73・10. 3656-3618 (2002)
• [Publications] H.Aizawa, T.Katsumata, J.Takahashi, K.Matsunaga, S.Komuro, T.Morikawa, E.Toba: "Fiber-optic thermometer using afterglow photoluminescence from long duration phosphor"Electrochemical and Solid State Letters. 5・9. H17-H19 (2002)
• [Publications] S.Komuro, T.Katsumata, T.Morikawa, H.Kokai, X.Zhao, Y.Aoyagi: "Formation of β-FeSi_2 thin films using laser ablation"Journal of Crystal Growth. 237/239. 1961-1965 (2002)
• [Publications] X.Zhao, S.Komuro: "Time-resolved photoluminescence of ytterbium-doped nanocrystalline Si"Applied Physics Letters. 79・14. 2151-2153 (2001)
• [Publications] M.Ishii, S.Komuro, T.Morikawa, Y.Aoyagi: "Local structure analysis of an optically active center in Er-doped ZnO thin film"Journal of Applied Physics. 89・7. 3679-3684 (2001)