2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造の非平衡安定形状とファセッティング過程に関する研究
Project/Area Number |
14550031
|
Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
安江 常夫 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (00212275)
|
Keywords | ナノ構造 / ファセット / 結晶成長 / 表面・界面物性 / ナノ材料 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き水素終端したシリコン表面上での銅ナノ構造の形成を行い、その非平衡安定形状の観察とファセッティング過程に関する研究を行った。 シリコン表面には化学的に活性なダングリングボンドが数多く存在するため、水素を用いて活性度を下げ、その上で銅ナノ構造の作製を行った。昨年度の研究により、形成されたナノ構造は、基板温度により異なる形状を示すことが明らかとなったが、基板温度の再現性が悪く、十分な議論をするにいたっていなかった。そこで今年度は、同じ基板でいくつかの温度を変えながら、再現性良い温度設定法を検討し、非平衡安定形状の決定を試みた。これにより、基板温度の上昇に伴い、安定形状が三角形状から六角形状に変化する様子が観察された。これは非平衡状態で成長が進むが、基板温度により安定に存在しうる相が異なっていることに起因すると考えられる。銅シリサイドではいくつかの層が存在し、これまでの研究結果から三角形状のナノ構造は、体心立法構造を有するβ相であることがわかっているが、六角形状のものは過剰の銅を取り込んだκ相(六方細密構造)である可能性が高いことが示唆された。 また形成されたβ層のナノ構造はファセットを有している。数多くのナノ構造について傾斜角を測定した結果、{554}、{110}、{112}、{114}または{115}といったファセットであることが明らかとなった。 これら一連の研究により、非平衡状態で形成されるナノ構造の安定形状は、形成時の雰囲気により変化すること、および、ナノ構造特有のファセット構造を有することが明らかとなり、バルクとは明らかに異なる振る舞いをすることが明らかとなった。
|