2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
五十嵐 顕人 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (00115784)
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Keywords | 確率過程 / ブラウニアンモーター / 分子モーター / 多自由度 / ラチェットモデル / 雑音 |
Research Abstract |
今年度は多自由度のブラウニアンモーターを計算機シミュレーションによって解析した。具体的には(1)アクチン-ミオシン系の筋肉の収縮に関係する分子モータのモデルである、ラチェットの自由度間の相互作用が1次元格子モデルで記述できる結合したフラッシングラチェットモデルに対して計算機シミュレーションを行なった。系の速度等のダイナミカルな性質に温度、結合の強さ、外力がどのように影響するかを調べた。また、系のエネルギー効率を計算し、1自由度の場合の結果と比較し、結合することで効率が改善されることを示した。(2)アクチン-ミオシン系の分子モータのアクチンフィラメントをミオシンを塗ったプレート上で動かしその基本的性質を調べるモーティリティーアッセイをモデル化して調べた。すなわち(1)で調べた系の各自由度が2次元の運動自由度を持つ様に拡張した系を取り上げる。この2次元の運動が許される系に対して計算機シミュレーションを行ない、1次元の場合と同様にダイナミクスを調べた。この際運動の方向が2次元的に許されるようになることで系の振る舞いがどのように変化するかを調べた。 研究の成果は7月イタリアのエリーチェで開かれた国際会議"Stochastic Systems : From Randomness to Complexity"で報告しそのproceedingが学術雑誌Phycica Aに掲載される予定である。また、8月に連合王国ランカスターで開かれたワークショップ"Fluctuation, Chaos and Complexity in Multistable Systems"においても発表した。3月北京で開かれた中国科学院、京大情報学研究科、北京大学合同シンポジウムにおいても報告している。
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