2003 Fiscal Year Annual Research Report
転がり軸受の極微量油潤滑法開発を目指した油不足EHLの基礎研究
Project/Area Number |
14550122
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
糸魚川 文広 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (20252306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (40135314)
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Keywords | EHL / 油不足 / 回帰式 / メニスカス / 転がり軸受 / 再流入 / 微量油潤滑 |
Research Abstract |
ElrodのアルゴリズムをEHL数値計算に適用し,油膜厚さ,油膜圧力とメニスカス位置を自動決定するプログラムを作成した.これより油不足を考慮した数値計算による転がり軸受運転条件(荷重,速度,材料物性および平均供給油量)をパラメーターとしたパラメータースタディを行い中心部油膜厚さ,最小油膜厚さおよび前方・側方メニスカス距離を算出する回帰式を,油膜厚さに対してはHamrock-Dowsonの油膜回帰式に対するスタベーションファクターとして,メニスカス距離に対しては無次元長さとして導出した. 並行して連続転走状態が実現できる光学干渉装置を作成し油膜厚さとメニスカス距離の実測を行った.その結果から3%〜8%程度の誤差で既述の油膜厚さとメニスカス距離が推定できることを確認した.ただし,メニスカス距離については,供給油量が多い場合は側方の油溜まりによる影響が大きく,数値計算による推定値から大きく外れる.しかし,この状態であっても中心部油膜厚さにはほとんど影響しないことがわかった. 実際の高速転がり軸受での油不足状態で必要となる動的な効果についても検証した.一つは,遠心力による内外輪転走面のずれによる油剤の再流入効果であり,これについて光学干渉試験機を改変して簡単なモデル試験を行った.このモデル試験結果を導出した回帰式を用いて推定することができるかを平均流量の考え方を導入して検証した.一様厚さの油膜が流入する場合の推定誤差に比較すると誤差は大きくなるが,側方の油溜まりを含めた平均油量を用いた流量バランスと回帰式のみで,ある程度の見積りが可能であることが示された.もう一つは,油剤の軸受内からの散逸と供給のバランスによる軸受内での平均油量の見積りであり,これは既存の実機相当スピンドル装置での定量油剤潤滑試験から得られる摩擦係数変化と膜厚推定値の変化の関係から類推した.この場合,摩擦係数変化はEHL油膜厚さの変化よりも,発熱による油剤および周囲温度の影響が顕著であることがわかった.
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