2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射光によるポリマーの表面改質とマイクロ(ナノ)システムへの応用
Project/Area Number |
14550128
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
石垣 博行 姫路工業大学, 工学研究科, 教授 (40081244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 真二 姫路工業大学, 高度産業科学研究所, 教授 (00312306)
小西 康夫 姫路工業大学, 工学研究科, 助教授 (40215299)
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Keywords | PTFFテフロン / 放射光 / ぬれ性 / 親水性 / 疎水性 / 表面粗さ |
Research Abstract |
本研究は、軟X線によるPTFEの内殻電子励起反応による効果を利用して、以下の3点を目的として行ってきた(1)軟X線によるPTFEのドライエッチングを利用したマイクロ3次元構造体作成のための基礎研究を行う(2)軟X線を用いてPTFEの表面改質を行い、新規な物性を持つPTFE表面を創出して新たな用途の拡大に貢献する(3)軟X線による表面改質効果とトライボロジー特性の変化を明らかにする。 昨年度は(1)を中心に実験を行い(2)に関しても基礎的知見を得ることができた。そこで本年度は、とくに(2)と(3)に重点を置いて研究を行った。その結果得られた知見を以下に示す。 シンクロトロン放射光による軟X線白色光(50-1000eV)を用いてPTFEの励起反応と表面改質を検討したところ、a)軟X線の露光によりPTFEのC-Fボンドの切断が起こる。これによってF原子が飛散し表面にはC原子が露になる。これによりPTFEの表面は活性化し、本来有する疎水特性は消滅する。しかし、基板温度を変化させると、より興味深い現象が観察される。すなわち、b)基板の加熱をすればするほど、C-C結合が切断されやすい環境ができる。これにより表面はフロロカーボンガスCF_3-(CF_2)_n-CF_3となって次々に離脱し、下から新しいPTFEの層が現れる。さらに温度を上げると、本来のPTFEの層だけではなく新たにCF_3結合の発生が確認される。この反応により表面は極端な疎水性を示すようになる。このように軟X線照射による表面改質は基盤温度の制御と照射条件との組み合わせにより極めて広範囲に表面特性を制御することができる。 c)トライボロジー特性もこれらの照射による改質の影響を大きく受けることが摩擦実験により明らかになった。すなわちPTFEの摩擦係数も制御が可能である。なお、水滴の接触角計測よりも摩擦計測の方が表面改質の計測感度が良いことも明らかになった。
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[Publications] Yuichi Haruyama: "X-Ray Photoelectron Spectroscopy Study of the Synchrotron Radiation Irradiation of the Polytetrafluoroethylene Surface"Jpn.J.Appl.Phys.. Vol.42 No.4A. 1722-1724 (2003)
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[Publications] Kazuhiro Kanda: "Surface Modification of Fluorocarbon Polymers by Synchrotron Radiation"Jpn.J.Appl.Phys.. Vol.42 No.6B. 3983-3985 (2003)