2003 Fiscal Year Annual Research Report
相変化を伴う流れ場に対する実用的シミュレーションソフトウェアーの開発
Project/Area Number |
14550153
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大西 善元 鳥取大学, 工学部, 教授 (40081228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大信田 丈志 鳥取大学, 工学部, 助手 (50294343)
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Keywords | 蒸発・凝縮過程 / ボルツマン方程式系 / 流体学力学的定式化 / 凝縮・非凝縮性混合気体 / 構造をもつ凝縮相 / 衝撃波、接触領域 / シミュレーション / 膨張波、膨張波領域 |
Research Abstract |
凝縮相界面での相変化に伴って生じる流れ場を、通常の「流体力学的レベル」で定性的にはもちろんのこと定量的にもきちんと扱えるシミュレーションソフトウェアーの開発を行うことが目的であった。相変化は界面近傍に生じる強い非平衡領域の存在に起因するため、その流れ場は非常に厄介な気体論方程式に基づく記述を必要とする。しかしながら、ここでは、本来立脚すべきボルツマン方程式系に基づく定式化を使用せず、それと等価な所謂「流体力学的定式化」(ナビエ・ストークス方程式系+気体論解析から導出された凝縮相界面での適切な条件)に基づいた通常の流体力学的レベルでのソフトウェアーの開発である。この流体力学的レベルでの「定式化」によって、種々の流れ場はその本質を見逃すことなく比較的容易にシミュレーション解析が可能となる。この点が大きな特徴である。この研究過程において、重要で新たな考慮すべき問題が昨年度後半からでてきた。つまり、凝縮相が内部構造(例えば、温度場等)をもつ場合に、その内部構造が流れ場にどのような影響を及ぼすのかについての解析の必要性である。この内部構造の存在は実際の熱・エネルギー輸送システムにおいて非常に重要となる。そこで、昨年度に引き続いて、この内部構造をも適切に取り込めるように「流体力学的定式化」を見直し、これに基づいて相変化に伴ういくつかの流れ場を扱い、ソフトウェアーの改良・改善を行ないつつ、内部構造の流れ場に与える影響を調べてきた。同時に、ボルツマン方程式系に基づくシミュレーションもいくつか並行して行い、両者の結果の定性的・定量的な一致をも確認している。それらの結果の多くは講演発表済みで、論文としても現在作成中である。因みに、この年度での発表論文件数は、国内学会講演会講演発表12件、鳥取大学紀要掲載4件である。来る2004年7月には、イタリアでの国際学会で2件の論文講演発表予定である。ついでながら、この研究に関連する論文で今年度に掲載発表された論文は2件である。 最後に、この研究において開発したソフトウェアーは実用的ではあるが、ユーザーインタフェースの面で当然ながら改良・改善すべき点が多々ある。このソフトウェアーを誰にとっても使いやすくするためには、この分野での専門家あるいは専門業者の介入が必要不可欠となる。
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[Publications] Yoshimoto Onishi, Ken Yamada: "Evaporation and Condensation from or onto the Condensed Phase with an Internal Structure"Rarefied Gas Dynamics. 6630-6637 (2003)
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[Publications] Yoshimoto Onishi, Ken Yamada, Takashi Nakajima: "Simulation of Evaporation Flows from the Condensed Phase with an Internal Structure based on the Fluid Dynamic Formulation"Rarefied Gas Dynamics. 654-661 (2003)