Research Abstract |
現有の幅1m,高さ4mの銅製伝熱面について,PIVによる可視化計測に適するよう改良を加え,当該研究費で購入したPIV画像記憶装置を用いて,数分間の連続画像(約80,000画像)の取込みを行った.得られた画像について,相互相関法による瞬時速度ベクトルとその統計量を求めたが,統計量については,熱線・冷線で計測したものとほぼ一致する結果であることを確認できた.従来,コンピュータのメモリー容量の関係で取込み画像数が限られていたため,断続的な処理を繰返して統計量を求めていたが,その結果に比べると飛躍的に精度の良い統計量が得られ看ようになった.しかしながら,境界層外層の間欠的な流動を示す瞬時速度ベクトルには,明らかに不確かの大きい過誤ベクトルが含まれているため,更なる計測精度の改善を要することが判明した.そこで,どのような流動状態で,過誤ベクトルを検出するのかを把握するため,可視化計測実験と並行して,平板乱流境界層の直接数値シミュレーションを実施し(日本機械学会熱工学講演会講演諭文集にて公表),PIV計測精度の検証に必要な基準画像のデータベース作成を試みた.解析から得られる濃度分布を微粒子の輝度と見なした基準画像から速度ベクトルを算出し,既知の正しい速度ベクトルと比較することによって,PIV計測の不確かさを調べ結果,やはり間欠的な流動に対しては,過誤ベクトルが生じやすく,何らかの補正が必要であることがわかった.現在,計測精度の一層の向上を図るため,画像データベースの改良とPIV計測に影響を及ぼす諸因子(処理アルゴリズム,可視化レーザ光の幅・照射時間等)についても併せて検討中である. 一方,自然対流乱流境界層については,その乱流特性から伝熱促進が困難であり,従来とは異なる新しい伝熱促進手法が求められている.そこで,伝熱促進板を境界層内に挿入する方法を考案し,それによる流動変化と伝熱促進の関連を調べるため,速度場の解析にPIV計測と上記の知見を利用している.その結果については,本年5月開催の第40回日本伝熱シンポジウムにおいて公表する予定である.
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