Research Abstract |
平成14年度は,幅1m,高さ4mの銅製伝熱面の周りに生じる自然対流乱流境界層について,、当該研究費で購入したPIV画像記憶装置を用いて数分間の連続画像の取込みを行い,瞬時速度ベクトルとその統計量を求めた.そして,統計量については,従来の熱線・冷線計測の結果と定量的にほぼ一致する結果が得られることを確認した.しかしながら,瞬時速度ベクトルについては,特に境界層外層の間欠的な流動に対して,明らかに不確かさの大きい過誤ベクトルが出現し,計測精度の更なる改善が必要であることが判明した.そのため,可視化計測実験と並行して,時間発展平板乱流境界層の直接数値シミュレーションを用いて,PIV計測精度の検証に必要な基準画像のデータベースを作成し,解析から得られる濃度分布を微粒子の輝度と見なした基準画像から速度ベクトルを算出し,既知の正しい速度ベクトルと比較することによって,PIV計測の不確かさを調べる試みも行った.その結果,間欠的な流動に対しては,過誤ベクトルが生じやすいことがわかったが,その補正の方策やPIV計測に影響を及ぼす諸因子についての検討が不十分であった.そこで,平成15年度は,直接数値シミュレーションから得られる画像データの改良を進め(実際にカメラで撮影される画素数に対応して),照射レーザシート幅,パルス照射間隔,画像処理アルゴリズム等について,PIV計測の精度を調査した.その結果,低流速である自然対流境界層の3次元の乱流挙動については,レーザシート幅の影響は小さく,最適なパルス照射間隔は3〜4ms,また相互相関法による速度ベクトルの算出については探査する相関領域を大きくした方がよいことなどがわかった.この成果については,現在進めている過誤ベクトルの補正に関する検討と自然対流境界層の乱流構造に対する考察を含めて,本年8月開催の日本流体力学会年会2004講演会において公表することになっている.また,本研究の遂行によって得られた総括的な成果については,学術雑誌に投稿する予定である.
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