2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境負荷が極めて低い小型高効率熱交換器の開発に関する基礎研究
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14550181
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 良道 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50144332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 満 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (20281115)
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Keywords | 液液直接接触熱交換 / 高密度不活性液体 / 上昇水乱流 / レーザー誘起蛍光温度計測法 / 粒子画像速度計測法 / 直接数値シミュレーション / 壁近傍乱流構造 / 乱流熱流束 |
Research Abstract |
現有の鉛直管実験装置を用いて、常温の上向き水流中に環境負荷の極めて低い液体であるフロリナート(FC-72)あるいはハイドロフルオロエーテル(HFE-7200)の液滴を1個ずつ下向きに噴出させた。水流に添加したトレーサー粒子と降下する液滴を撮影し、得られる画像を処理し、液滴の運動と水乱流速度場の計測を行った。その結果、高比重のフロリナートの液滴は直線的に沈降し、他方、比重のやや低い液滴は揺動を伴いながら壁面近傍を沈降するものが多く観察された。液滴が通過する領域では、水流の平均流速の低下のみならず、流れ方向、水平方向の乱れ強さが増加していることを明らかにした。これは、液滴の非対称な後流によることを示した。さらに、液滴が壁から遠ざかる際に壁近傍乱流構造に影響を与える可能性を示した。 ハイドロフルオロエーテルよりもやや低比重の液滴1個を含む鉛直チャネル乱流の流動・熱伝達に関する数値シミュレーションを実行した。計算結果より、壁面の近くに液滴があるとき、その周りではヘアピン渦に起因する低速・高温流体の持ち上がりが抑制され、熱伝達が低下傾向にあることを得た。さらに、液滴の後流部へ巻き込まれる著しい流れの一部が壁近傍の低速・高温流体を軸方向に運ぶこと、高速・低温の主流の一部が液滴の頂部において向きを変え壁面近傍に到達すること、これらはいずれもヘアピン渦による運動量・熱輸送よりも大規模で著しいこと、したがって正味熱伝達は向上する可能性があることを得た。 粒子画像速度計測法とレーザー誘起蛍光温度計測法を用いて、不溶性液滴を含む水流の速度と温度の同時計測法を確立した。これを加熱底面上に不溶性液滴がある水槽内の自然対流に適用して、手法の有効性を確認した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 弓削拓治, 萩原良道, 田中満: "高密度不溶性液滴を含むチャネル乱流の熱伝達に関する直接数値シミュレーション"第16回数値流体力学シンポジウム講演論文集. E11.4.1-E11.4.5 (2002)
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[Publications] Y.Hagiwara, T.Yuge, S.Takagaki: "Heat Transfer Enhancement by an Immiscible Droplet Wobbling in Near-wall Region of Turbulent Downward Liquid Flow"J.of Enhanced Heat Transfer. Vol.10. (2003)
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[Publications] M.Tajima, Y.Hagiwara, N.Matsukura: "Turbulent upward pipe flow with immiscible droplets"Proc.UK-Japan Seminar on Multiphase Flow 2003. (2003)
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[Publications] N.Matsukura, M.Goto, M.Tajima, Y.Hagiwara: "Velocity and temperature measurement for natural convection flow with an immiscible droplet in a small water tank"Proc.UK-Japan Seminar on Multiphase Flow 2003. (2003)
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[Publications] 田島正博, 松倉紀行, 後藤雅志, 萩原良道: "沈降する不溶性液滴を含む鉛管内上昇水乱流の計測"第40回日本伝熱シンポジウム講演論文集. (2003)