2002 Fiscal Year Annual Research Report
ガス溶解に伴う三相界面のミクロ液膜構造とマランゴニ流の解明
Project/Area Number |
14550197
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
鴨志田 隼司 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (30052856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越後 亮三 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70037737)
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Keywords | ガス溶解 / 固・液・気三相界面 / 薄液膜現象 / マランゴニ流 / 熱・物質伝達の促進と制御 / 半導体製造プロセス / 吸収冷温水気機 / 燃料電池 |
Research Abstract |
固体/腋体/気体が形成される三相界面において,ガス溶解あるいは吸収・吸着現象に伴い,密度・温度・濃度差に起因するマランゴニ流が優先的に発現する.殊にこの領域において,液体振動,温度変動や微少重力変動などの外力が作用すると,接触界線近傍の先端(動的メニスカス)は薄膜状態となり,密度差に起因する激しい流動の発現が観察される.本研究はこうした情況を背景に,マランゴニ流が関係する各種の熱・物質・流動プロセスのうち半導体製造における精密洗浄・乾燥システムに係わる移動論的な現象を明らかにすることを目的とした. ・マランゴニ流を精密乾燥システムに応用する際の実質的なメリットや問題点などは,これまで工業的に応用するためのマクロな知見ばかりで,基礎的な物理現象を直接的にとらえた報告はない.つまり,この乾燥システムがマランゴニ流動を駆動力するという理論もあくまでも仮定であり,実際に確認されたわけではない.そこで本研究では,まずこの乾燥プロセスがマランゴニ流を駆動力としているという確認から研究を進めた.実験方法は,設計製作した小型の低圧チャンバー内にWhilhelmy法に倣った計測装置を設けた.すなわち,内蔵した精密級電子天秤の下端に垂下した試料ウエハの小片を超純水中に浸漬した後,試料を水中からIPAと窒素の混合ガス中に曝露させて,三相界面に発現するマランゴニ流を濃度変動として観測した.試作した微細な光ファイバー濃度センサの計測結果によると,三相界面が移動すると動的メニスカス上部の薄液膜内での界面濃度が急激に上昇し,この部分で激しい濃度変動を観測した.そこで,この知見から新しいマランゴニ乾燥の原理のモデルを提唱した. ・マランゴニ効果による半導体ウエハの洗浄・乾燥の最適化のためにメニスカスの移動速度・超純水温度と乾燥度の関係を実験的に調査し,マランゴニ乾燥における各パラメータの最適値を求めた.さらに,マランゴニ対流による表面の洗浄効果を確認した.
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