Research Abstract |
水平矩形管流路の10mm×10mm伝熱面及び直径5mm,長さ50mmの水平円管流路伝熱面において,水のサブクール流動沸騰の実験を行った結果,気泡微細化沸騰(Microbubble Emission Boiling=MEB)に関して,以下の知見が得られた. 矩形管流路 1.サブクール度40K以上,液流速0.5m/sで安定した気泡微細化沸騰が発生し,最大熱流束10MW/m^2の高熱流束に達する. 2.気泡微細化沸騰は,激しいMEB (Violent MEB)と穏やかなMEB (Silent MEB)に大別され,MEBの初期と終末には穏やかなMEB,熱流束が高くなると激しいMEBが発生する場合が多い. 3.激しいMEBには,周期的MEBの発生することが多く,高速度ビデオ画像による気泡挙動の観察及び流路内圧力変動の波形から,気泡発生,生長,崩壊が周期的に行われており,その周波数は伝熱面に供給される1秒当たりの給液回数すなわち固液接触回数を意味する. 4.合体気泡が崩壊する時に管内圧力が急上昇する. 5.気泡微細化沸騰の終末は,伝熱面が薄い蒸気膜に覆われ伝熱面が乾き始めて急激に伝熱面温度が上昇する.これは,通常の遷移沸騰と同じであるが,膜沸騰へ移行する時の伝熱面過熱度は,通常の遷移沸騰より高い. 6.高負荷電子デバスの超高熱流束冷却には,チップパック面積が10mm×10mmについて,除熱熱流束の点では十分対応可能であるが,いかに穏やかなMEBを発生させるかが,今後の課題となる. 円管流路 1.入口から20〜25mm程度までは,気泡微細化沸騰により高熱流束が得られるが,下流域では1m/sの流速でも液が全て蒸気になり乾き始める. 2.高負荷電子デバスのヒートスプレッダーの中にミニスケール円管を通して気泡微細化沸騰による高熱流束冷却は極めて効果的な冷却方法であるが,長さ20〜25mmが限界であろう.幅については,円管を並列に貫通し隣り合った流路を向流にすることにより,面積拡大が可能になると考える.
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