2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550204
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Research Institution | College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
脇谷 俊一 産業技術短期大学, 機械工学科, 教授 (80108125)
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Keywords | 熱対流 / チョクラルスキー法 / 低プラントル数 / 液体金属 / 振動流 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
成長縞(ストリエーション)発生の一因と考えられている結晶成長時の融液側振動流を明らかにするために,単結晶引上げ法の一つであるチョクラルスキー法を想定した,液面中央部に回転冷却部(生成結晶)を持つ,アスペクト比(融液径/融液深さ)2,直径比(冷却棒径/融液径)0.3および0.5の円筒容器内液体金属(プラントル数0.025)熱対流について,(1)冷却棒回転なし,液面(自由表面)断熱,(2)冷却棒回転あり,液面断熱,(3)冷却棒回転あり,液面熱損失考慮という3種類の液面での境界条件に対して前年度に続き数値シミュレーションを実行した結果,1.回転による強制対流効果に比べて温度差による自然対流効果が主要なとき,容器中心部で下降し壁面近傍で上昇する単一のドーナツ状ロールからなる流れの構造が形成される。2.このロール構造は,直径比0.3および0.5では方位角方向波数がそれぞれ主として4および3の回転対称モードであり,超臨界域ではそれらロールに振動が生じる。3.強制対流効果が無視できない場合,二重のドーナツ状ロールが形成され,冷却棒回転が増加するにつれ,方位角方向波数3の位相速度をもつ回転流が生じる。 また,溶融ガリウムを用いた実験を行った。ガリウムの酸化皮膜生成抑制のために,恒温バス内に設置したカーボン製円筒容器を含む装置全体を窒素雰囲気のデシケータ内に閉じ込めて実験を行った。アスペクト比2,直径比0.5の場合について,極細線シース熱電対を用いて熱対流の温度場を詳細に測定した結果,1.自然対流が主要な範囲では冷却棒回転の増加につれて振動の始まる臨界グラスホフ数は低下した。2.自然発生振動に対応する冷却棒回転の場合,一種の共振状態のために温度振動が明らかに増大した。この回転域を除けば,振動は減少する傾向を示し,冷却棒を回転することの振動抑制効果が見られた。
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