2002 Fiscal Year Annual Research Report
常温硬化複合材料構造物の振動特性に及ぼす環境因子の影響とロバスト最適設計
Project/Area Number |
14550206
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 元 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10001166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 幸徳 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10186778)
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Keywords | 複合材料 / 補強平板 / 最適設計 / 振動解析 / 連続体 |
Research Abstract |
スチール製片持ち平板にFRPシートを積層して部分的に補強した構造の振動解析モデルを,古典積層理論と多層積層理論に基づき構築した.いずれの場合もリッツ法により振動数方程式を導出したが,古典積層理論においては,FRP補強部とスチールのみの部分とで許容関数を独立に考え,接続部での変位と傾きの一致を考慮した.また,多層積層理論では各層ごとに幾何学的境界条件を満たす許容関数を用いた.固有振動数と振動モードを計算し,実験との比較を行った結果,許容関数を工夫した古典積層理論による結果が,効率的で十分な精度を有することが明らかとなった.さらに,振動インテンシティの解析も実施し,FRPシートを積層して部分的に補強した構造では,繊維配向角によって振動エネルギーの流れが変化することが確認された.目的に応じた評価関数を設定し,遺伝的アルゴリズムを適用して最適設計を実施し,固有振動数と減衰比をバランスよく最大化できる繊維配向角を調べた.解析に基づきFRPシートを積層し,常温硬化樹脂を用いて部分的に補強したスチール製平板を製作した.これを片持ち支持して自由振動および強制振動実験を実施し,固有振動数と減衰比を測定した.その結果,積層部は24時間でほぼ完全に硬化し,固有振動数はその後ほとんど変化しないが,減衰比は時間の経過とともに徐々に減少することがわかった.この傾向は数週間から1ヶ月程度で収束する.そして,その時点で同定された繊維含有率,硬化した樹脂のヤング率と減衰係数を用いて実施した数値計算結果は実験値とよく一致することが確認された.ただし,温度や湿度が振動パラメータに与える影響も確認されており,今後さらに継続的な調査が必要と考えられる.
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