2003 Fiscal Year Annual Research Report
リラクタンスモータの磁気飽和による効率劣化とその改善法に関する研究
Project/Area Number |
14550261
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
野口 敏彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (10237828)
|
Keywords | リラクタンスモータ / 効率 / 磁気飽和 / 最適励磁電流 / d軸インダクタンス / q軸インダクタンス / 効率最大運転 / 実験検証 |
Research Abstract |
平成15年度は本研究課題のうち,実験検証用のモータ・負荷装置とディジタル制御システムの構築を完了するとともに,従来法と比較しつつ種々の回転数や負荷におけるモータ効率を検証した。また,得られた実験データをまとめて,提案する効率最大運転法の評価を行った。その結果,以下の研究成果が得られた。 (1)1kWの同期リラクタンスモータを2台用意して,一方を供試機,他方を負荷機として実験検証システムを完成させた。また,汎用のデスクトップコンピュータ,A/D変換ボード,D/A変換ボード,リアルタイムOS(RT-Linux)などを利用して,1台のコンピュータで供試機と負荷機を同時にベクトル制御するように全ディジタルソフトウェア制御システムを構築した。 (2)銅損のみを損失因子と仮定した(鉄損を無視した)場合について,従来の励磁電流一定制御法,励磁電流をトルク電流と等しく制御する方法,本研究課題で提案する最適励磁電流を与える方法の3通りについてモータ効率の比較実験を実施した。その結果,励磁電流一定制御法と比べて平均6.4ポイント,励磁電流をトルク電流と等しく制御する方法と比べて平均5.4ポイントモータ効率が向上し,提案する最適励磁電流の場合が最も高いモータ効率を実現することが確認された。 (3)確認のため,一定の回転数,一定の負荷トルクにおいて種々の励磁電流を与え,モータ効率が最大となる励磁条件を実験的に探索した。探索結果の励磁電流実験値は本研究課題で理論的に求めた励磁電流特性を若干下回わるものの,両者はトルク電流に対して相似な非線形特性となることが確認された。これにより,提案する最適励磁電流条件が真に最大効率を実現するものであることが実証できた。 (4)実験に先立ち行われたコンピュータ数値解析によるモータ効率特性には,機械損や鉄損が含まれていなかったため,全体的にモータ効率が実験値よりも高くなる傾向が見られた。このため,モータ・負荷装置の機械損を実測してコンピュータによる数値解析に盛り込んだ。この結果,モータ効率に関する数値解析結果と実験結果の間で良好な一致が見られた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 加藤隆弥, 野口季彦: "磁気飽和を考慮した同期リラクタンスモータの最大効率運転法と最大トルク運転法"平成15年電気学会全国大会公演論文集. 4. (2003)
-
[Publications] 加藤隆弥, 野口季彦: "磁気飽和モデルを用いた同期リラクタンスモータの最大効率運転法"電気学会半導体電力変換研究会資料. 19-24 (2004)
-
[Publications] T.Noguchi, T.Kato: "True Maximum-Efficiency Operation Using Magnetic-Saturation Model of Synchronous Reluctance Moter"IEEE Industry Applications Society Annual Meeting. (発売予定). (2004)
-
[Publications] 海老原, 野口季彦(分担執筆), 他: "モータ技術用語辞典"日刊工業新聞杜. 235 (2002)