2002 Fiscal Year Annual Research Report
バルク高温超電導体の減衰・漸増パルスによる消・着磁に関する研究
Project/Area Number |
14550275
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
石郷岡 猛 成蹊大学, 工学部, 教授 (30054373)
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Keywords | バルク高温超電導体 / 着磁 / 消磁 / 交流パルス磁界 |
Research Abstract |
バルク高温超電導体は従来の永久磁石では得られない高い磁束密度が得られるため、電動機、発電機、磁気ベアリング、等々の応用が期待されているが、その実用化には実際的問題として、着磁、および消磁のための技術の確立が不可欠である。このため、平成14年度は、手始めとして、減衰交流振動磁界を印加して、一旦着磁したバルク体の消磁実験を試みた。 交流磁界の印加の方法としては、キャパシタバンクに充電しておいた電荷を着・消磁用コイルに放電する方法、および、着・消磁用コイルと直列および並列にコンデンサを接続してLC共振回路を構成し、これに小型(3kVA)の同期発電機の出力を直接接続して行う方法の二つを試みた。この結果、コンデンサ放電による方法では、約0.33Tまで着磁でき、その初期着磁磁束が減衰振動磁界の印加により約0.005Tまで消磁できることが確認された。また、同期発電機の電圧を変化させて減衰振動交流パルス磁界を印加する方法では、0.08Tまで着磁でき、その後の減衰振動磁界の印加により約0.006Tまで消磁できることが判った。これらの結果は、一例として磁気浮上式鉄道用の超電導磁石に適用した場合、実用上十分なレベルにまで消磁できていると考えられる。 次に、漸増振動パルス磁界による着磁では、同一の印加着磁磁界に対して、単一の直流パルス磁界による着磁に比べ得られる着磁磁束密度が約2倍大きいこと、さらに、着磁過程で発生する着磁コイルでのジュール損失が通常の直流パルスによる着磁に比べ約2/3であることが確認できた。これから、減衰・漸増交流パルス磁界を用いた着磁は、直流パルス磁界によるそれと比べて、より効率よく着磁出来ることが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 石郷岡 猛, 二ノ宮 晃, 藤浪 達也, 上條 弘貴, 藤本 浩之: "減衰振動パルス磁界によるバルク超電導体の消磁"日本AEM学会誌. Vol.10, No.2. 143-147 (2002)
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[Publications] 石郷岡 猛, 二ノ宮 晃, 藤浪 達也, 上條 弘貴: "震動パルス磁界による高温超電導バルク体の着・消磁実験"成蹊大学工学研究報告. Vol.28, No.2. 51-52 (2002)
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[Publications] 石郷岡 猛, 二ノ宮 晃, 押田 圭太, 水取 寛満, 上條 弘貴, 藤本 浩之: "減衰震動パルス磁界によるバルク超電導体の消磁実験"日本AEM学会誌. Vol.10, No.3. 335-338 (2002)