2002 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー環境問題の解決を目的としたNAS電池システムの計画運用手法
Project/Area Number |
14550278
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩本 伸一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30119648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大高 聡也 早稲田大学, 理工学部, 助手 (50339694)
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Keywords | NAS電池 / 電力貯蔵用電池 / 電力貯蔵装置 / 電圧・無効電力制御 / 過負荷制御 / 最適潮流計算 / 過渡安定度計算 |
Research Abstract |
本研究では、電力貯蔵装置の1つであるNAS電池に対して、「電力の貯蔵」という役割を果たさせるだけでなく「電力系統の制御」という機能を持たせることを検討し、その応用方法について提案した。現在の電力系統において、SVC(静止型無効電力補償装置)やSTATCOM(自励式無効電力補償装置)といった「無効電力」を高速に制御できる機器は既に導入されているが、「有効電力」と「無効電力」を同時に制御できる機器は今のところ実用化されていない。このような背景のもと、有効電力と無効電力の両方を高速かつ柔軟に取り扱うことができ、定格出力の2〜5倍程度の電力を瞬時に放電することもできるNAS電池の登場により、将来の電力系統において多種多様な系統制御が実現されると予想され、今までの電力系統にはない新たな制御体系が確立されると期待される。 特に、本研究では「NAS電池システムと既存VQCシステムの協調制御」および「NAS電池システムによる線路過負荷の解消」について検討し、その解析手法および制御アルゴリズムについて提案した。既存VQCシステムとの協調制御では、2段階から成る最適潮流計算を解くことによりNAS電池とVQC機器の制御パターンを決定し、地域供給系統における母線電圧と電圧安定性の維持を図る手法について提案した。そしてシミュレーションを行った結果、NAS電池の優れた無効電力調整機能により、配電用変電所に設置されるVQC機器の容量の削減が可能となることを確認した。線路過負荷の解消では、送電線事故によって生じる線路過負荷を解消するためにNAS電池を利用することを考え、そのために必要な設置計画と運転制御を決定する手法について提案した。設置計画の段階ではNAS電池の最適配置と最適容量を決定し、運転制御の段階では高出力型NAS電池により過渡状態の系統動揺を抑制しつつ最終的には線路過負荷も解消することができる手法を適用した。そしてシミュレーションを行い、設置計画段階で決定されたNAS電池システムの最適配置と最適容量により、運転制御段階で線路過負荷現象が効果的に抑制されることを示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大高, 岩本: "NAS電池システムの設置による調相設備容量の削減に関する一考察"電気学会全国大会講演論文集(掲載予定). (未定). (2003)
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[Publications] T.Ohtaka, S.Iwamoto: "Possibilily of Using NAS Battery Systems for Dynamic Control of Line Overloads"Proceedings of IEEE/PES Transmission and Distribution Conference and Exhibition 2002 : Asia Pacific. Vol.1. 44-49 (2002)
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[Publications] 大高, 岩本: "NAS電池システムを用いた系統事故時バックアップの一手法"電気学会電力系統技術・電力系統技術合同研究会資料. PE-02-25, PSE-02-35. 55-60 (2002)
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[Publications] 大高, 岩本: "NAS電池システムを用いた線路過負荷現象の抑制手法"電気学会電力・エネルギー部門大会論文集. Vol.A, No.283. 779-780 (2002)
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[Publications] 大高, 岩本, 田中, 難波: "線路過負荷の動的制御を目的としたNAS電池システムの計画と運用"電気学会全国大会講演論文集. Vol.6, No.6-099. 173-174 (2002)