2003 Fiscal Year Annual Research Report
Mn-Laドープによる透明な室温強磁性・強誘電性酸化物の創製
Project/Area Number |
14550295
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
五味 学 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80126276)
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Keywords | 室温強磁性 / ペロブスカイト型酸化物 / 強誘電体 / 機能調和材料 |
Research Abstract |
本年度研究計画に基づき、1.ペロブスカイト型希薄強磁性酸化物における強磁性発現機構、2.強磁性・強誘電性の共存条件、3.印加電界の磁気特性への影響を明らかにすることを目的として研究を行い、以下の成果を得た。 1.La,Mnが共ドープされた強誘電体BaTiO_3セラミックスは、約320Kにキュリー温度を持つ室温強磁性ヒステリシスを示すが、この系では、La,Mnドープ量の増加とともにX線回折に(La,Ba)MnO_3に近い微量のピークが観測された。また、高分解能TEMにより粒界部にMnリッチな結晶粒が観察されたこと、およびこの強磁性はセラミックスの焼成温度にも強く依存し、高温で焼成された試料は強磁性を示さなかったことから、強磁性は析出した他のペロブスカイト強磁性相による可能性が高いことが明らかとなった。 2.La,MnドープはBaTiO_3の強誘電性にも影響を与え、強誘電性キュリーに対応する誘電率のピーク温度および強度は、ドープ量の増加とともに減少してその温度特性は3mol%以上のドープではブロードとなって明確なピークは観測されなかった。しかし、強磁性を示すドープ量1mol%では室温で強誘電性も持ち、世界で初めて室温で大きな磁化と強誘電性を示す強磁性・強誘電性共存材料の作製に成功した。 3.1.の知見より予想されるようにBaTiO_3-LaMnO_3コンポジットにおいても室温でより強い強磁性と強誘電性の共存する材料を作製することに成功した。 4.La,MnドープBaTiO_3およびBaTiO_3-LaMnO_3コンポジットにおいて、電界印加により、強磁性飽和磁化が大きく減少することを明らかにした。この電界による磁化の減少は、世界で初めて達成されたものであり、夢であった電界による磁性制御に大きく道を開く結果である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 堀江智史: "La,MnドープBaTiO3の強誘電性と強磁性"日本応用磁気学会講演予稿集. 177-177 (2003)
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[Publications] 五味 学: "La,Mnドープペロブスカイト型酸化物における強磁性と強誘電性の共存"粉体粉末冶金協会講演概要集. 51-51 (2003)