Research Abstract |
比較的ブロードなビームを整形するため,ホーンアンテナを取り上げ,これまで行ってきた多モードの合成をより正確に行うため,ホーン開口面の電磁界分布を2次計画法により最適化する方法について検討した.さらに,多モードのユニバーサル放射パターンを用いることによって,任意のホーン開口径に対する最適な励振モードが得られることを明らかにしている.上記モード係数を用いれば,ホーンアンテナの交差偏波特性およびサイドローブ特性を従来に比べて容易に向上させることができ,それと同時に円形カバレッジ内を最適に照射する整形ビームが多モードの合成によって得られることになる.本法の適用例として,曲線フレア構造をもつ高性能ホーンアンテナおよび同軸キャビティを多段に装荷した小型ホーンアンテナを設計,試作し,放射パターンを測定したところ計算値とよく一致することを確認している.また,ホーンと給電回路との整合特性の解析および実験も行っており,両者とも良好な結果が得られ,これまで以上に高性能で小型のホーンアンテナが得られる見通しを得た.また,すでに述べたように,ビーム整形を行うアンテナの設計で重要なことは,開口面分布の制御にあり,ここでは,このような開口面分布の評価として,新たにフィールド・レトリーバル法を開発している.これは,電磁界分布測定とは異なる手段によりアンテナ開口面での位相分布が得られる場合,2次元振幅分布をある一つの平面(例えば,アンテナ近傍)だけで測定した後,計算処理を行うことによって開口面での電磁界分布を復元しようというものである.本法の妥当性を検証するため,ミリ波帯(50GHz)での平面走査装置により近傍界分布を測定し,得られた測定データを基にシミュレーションを行っている.さらに,これまで基本検討を行ってきたリクレクトアレイを引き続き取り上げ,広帯域に設計したリフレクトアレイを実際に試作し,実験的に評価したところ良好な特性が得られており,最初に述べたホーンアンテナを1次放射器として用いれば,利得のさらなる向上も期待できる.
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