2002 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼な量子情報通信システムの構築に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14550387
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
常盤 欣一朗 大阪産業大学, 工学部, 教授 (70172145)
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Keywords | 量子情報通信 / 量子情報理論 / 量子符号理論 / 量子コンピュータ / 量子誤り / 量子誤り訂正符号 / 誤り訂正符号 / バースト誤り |
Research Abstract |
高信頼な量子情報通信システムを構築するためには,量子情報の信頼性をいかに確保できるかということが重要な問題である.この問題を克服するための有力な技術の一つとして,量子誤り訂正符号化技術に大きな注目が集まっている.本研究の目的は,量子誤り訂正符号を理論的・体系的に取り扱うための基礎となり得るような量子符号理論を確立することである.そこで,効率の良い量子誤り訂正符号の統一的な構成法を考案するという目標に向けて,本年度は 1.従来の古典的な誤り訂正符号を基にした符号構成法を利用した場合,どのようなパラメータをもつ量子誤り訂正符号が構成できるのか. 2.既知の量子誤り訂正符号よりも優れたものが存在するのか. ということについて検討を行った.具体的には,以下の通りである. 古典符号に基づいた量子誤り訂正符号の構成法としてCSS符号構成法およびその拡張バージョンが良く知られている.そして,これらCSS符号タイプの量子誤り訂正符号はある条件を満足する基底によって完全に記述できる.この点に着目し,申請者自身は古典符号が与えられたときに基底を探索するための効率的なアルゴリズムをすでに提案している.そこで,このアルゴリズムを用いて,古典符号として巡回符号を選択したときに構成し得る量子誤り訂正符号のパラメータを計算機で探索した.実際の探索はランダム誤りおよびバースト誤りを対象として符号長64以下の範囲で行った.その結果,量子ランダム誤り訂正符号としては,既知の符号と同等のパラメータを有するものはあったが,新しいものを見つけることはできなかった.一方,量子バースト誤り訂正符号に関しては,既知の符号がほとんどないので比較することができないが,いくつかの効率の良い新しい符号を求めることができた.
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