2003 Fiscal Year Annual Research Report
事前情報モデルを利用したモデリングから制御則設計に至るまでの統合化手法の構築
Project/Area Number |
14550451
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
今井 純 岡山大学, 工学部, 講師 (50243986)
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Keywords | 事前情報モデル / モデリング / 制御器設計 / 分布定数系 |
Research Abstract |
現実の制御対象をモデリングかつ制御則設計してうまく動かすことができるかは,対象に関して入手できている情報をいかに有効に最大限活用できるか,にかかっているといってよい.本研究は,このような事前情報のうち,制御対象と何らかの関わりをもつ数学モデル(事前情報モデルと呼ぶ)に注目し,新たに得られた対象に関する情報と共に事前情報モデルを対象のモデリングと制御則設計に積極的にかつ有効に利用するモデリングと制御への適用を目的としている.本年度の具体的な成果としては、これまでに研究代表者らが提案している分布定数系の不確かさのモデリングを用いた同定法をベースとして,制御則設計に周波数領域上に可能性集合の考え方を取り入れることで事前情報制御則を利用した制御器設計法を提案したことである.これは空間分布全体の制御性能に一定の保証を与えることが特徴である。すなわち、固有値固有関数の有限個のみが既知の熱伝導系について、その有限次元近似モデルを周波数および空間変数に関する誤差上界つきで与えた。そしてあるクラスの公称モデルおよび不確かさのタイトな重み関数が有理関数で与えられることを明らかにした。そしてこの結果により感度関数で表現した制御性能を空間分布にわたって保証するような設計が可能になることを示した。また前年度に提案を行った周波数応答の複素平面上での可能性集合の同定法について,前年度に引き続き,柔軟構造物について図的な特徴づけを計算機支援にて行う環境の実現を検討した。最終年度は上記の手法について実例にもとづく有用性の検討を行うため,反応炉の例題において,動作点の移動を考慮に入れた非線形システム制御への拡張を試み,非線形性の考慮に有用な制御系の構成を検討する予定である。
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[Publications] 今井純, 安藤泰明, 小西正躬: "状態分布の誤差上限を有する熱伝導系の低次元モデリング"第3回計測自動制御学会制御部門大会資料. 227-230 (2003)
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[Publications] 川本隆義, 今井純, 小西正躬, 西竜志: "分布定数系モデルにもとづく柔軟アームの加速度フィードバック"第46回自動制御連合講演会講演論文集. 393-396 (2003)
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[Publications] 安藤泰明, 小西正躬, 今井純, 西竜志: "熱伝導分布定数系における温度分布の推定・制御問題の一考察"第12回計測自動制御学会中国支部学術講演会. 100-101 (2003)
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[Publications] 今井純, 安藤泰明, 小西正躬: "熱伝導系の部分的な固有構造を用いた最適な有限次元近似"第32回計測自動制御学会制御理論シンポジウム. 229-232 (2003)
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[Publications] J.Imai, Y.Ando, M.Konishi: "An optimal finite-dimensional modeling in heat conduction and diffusion equations with partially known eigenstructure"Proc.42nd IEEE Conf.on Decision and Control. 360-366 (2003)
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[Publications] J.Imai, Y.Ando, M.Konishi: "A finite-dimensional modeling of heat conduction systems with state distribution error bounds"Proc.10th IFAC Sympo.Large Scale Systems : Theory and Applications. (発表予定). (2004)