2002 Fiscal Year Annual Research Report
凍害劣化深さを指標としたコンクリート構造物の耐久性照査手法に関する研究
Project/Area Number |
14550467
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
庄谷 征美 八戸工業大学, 工学部, 教授 (80006684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 隆 八戸工業高等専門学校, 教授 (10042152)
阿波 稔 八戸工業大学, 工学部, 講師 (10295959)
月永 洋一 八戸工業大学, 工学部, 教授 (60124898)
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Keywords | 凍結融解 / 凍害 / 耐久性照査 / 凍害深さ / コンクリート表層部 / 非破壊試験 |
Research Abstract |
現在、土木学会におけるコンクリートの耐凍害性の照査は、相対動弾性係数を指標として行われている。しかし、一定の装置を用い、小型供試体で測定される相対動弾性係数を構造物の耐凍害性の照査に用いる方法は、水セメント比を制限する旧示方書の方法と基本的には大きな変化はなく、必ずしも合理的な方法とはいえないと考えられる。一方、2001年に制定された、土木学会標準示方書(維持管理編)における凍害維持管理標準では、コンクリート構造物における凍害劣化の予測を、凍害劣化深さを指標として行うことを基本としている。表層部におけるコンクリートの凍害劣化の評価方法を確立することは、コンクリート構造物の合理的な耐久性設計や維持管理を実施する上で極めて重要な指標となる。 そこで本研究では、凍結融解作用を受けたコンクリート表層部の深さ毎の経時的な劣化度を、独自に開発した改良プルオフ法により、非破壊的に評価し、凍害劣化深さを指標としたコンクリートの耐久性照査手法を提案することを目的としたものである。今年度得られた結果の概要を以下に述べる。 1.凍結融解サイクルの進行に伴いプルオフ強度低下率は徐々に増加し、プルオフ強度低下率が、およそ20%以上になると凍害劣化の進行が加速する傾向が見られた。 2.同一配合による1面暴露、2面暴露の試験結果を比較すると、プルオフ強度低下率は暴露面積の大きい2面暴露の方が急激に増加する傾向が見られた。これは、凍結融解の劣化過程において水分が1面暴露に比べ供試体へ多く供給されるためである。しかし、同じ相対動弾性係数(80%、60%、40%)においてプルオフ強度低下率を比較すると、1面暴露の方が2面暴露のケースよりプルオフ強度低下率が大きい結果となった。これは、2面暴露のケースの相対動弾性係数は、その2面の劣化の影響が同時に反映されているためであり、単位面積(1面)あたりの劣化の度合いは、1面暴露のケースの方が大きいをことによるものと思われる。このことは暴露面積の異なる供試体の凍害劣化度を、相対動弾性係数を用いて評価することが困難であることを示唆しているものと考えられる。 3.これらの結果より、本研究における改良プルオフ法は、凍結融解作用によるコンクリート表層部の強度変化を、任意深さ位置で評価できることが確認された。
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[Publications] 阿波 稔, 庄谷 征美, 月永 洋一: "簡易引張強度試験によるコンクリート構造物の凍害劣化度評価"土木学会水辺のコンクリート構造物に関するシンポジウム論文集. コンクリート技術シリーズ45. II-55-II-60 (2002)
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[Publications] 阿波 稔, 庄谷 征美, 月永 洋一: "細孔構造特性に着目した粗骨材の品質とコンクリートの凍結融解抵抗性"土木学会コンクリートの耐久性データベースフォーマットに関するシンポジウム論文集. コンクリート技術シリーズ46. 41-46 (2002)
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[Publications] 阿波 稔, 庄谷 征美, 戸來 慎太郎: "改良プルオフ法によるコンクリート表層部の凍害劣化度評価"土木学会第57回年次学術講演会講演概要集. 第5部(CD-ROM(V-204)). (2002)
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[Publications] 會田 隆也, 阿波 稔, 庄谷 征美: "凍結融解作用を受けたコンクリートの物質透過性に関する研究"土木学会東北支部技術研究発表会講演概要. 平成14年度. 620-621 (2003)