Research Abstract |
本研究では,橋梁構造物の使用を目的とした新しい桁構造形式の一つとして,桁側面に,造形的にも好感度の高い光りと影のラインを与え,尚且つ高い強度上昇が可能となる力学線が存在する折れ板断面鋼桁を提案し,その力学線が桁の強度特性に及ぼす影響について検討を行った.折れ板断面桁は,I形断面桁のウェブ部に折れ鋼板材を用いることによって,折れ線上に光と影のラインを与え,桁高を低く見せる効果が有り,景観上優れた構造部材になり得るものと考えられる.更に,構造上の特性として,折れ鋼板材に力学線が存在することによる側方への補剛効果が期待される. 本研究では,昨年度に引き続き,面内曲げを受ける折れ板断面鋼桁について,その強度に影響を及ぼすと考えられる,折れ角,断面構成板の幅厚比,桁部材細長比,及び材料強度等の因子を種々変化させ,上記解析法によりパラメトリック解析を行い,構造諸元等が折れ板断面鋼桁の耐荷力に及ぼす影響について検討を行った.更に,パラメトリック解析によって得られた座屈変形モード図及び耐荷力曲線等に基づいて,折れ板断面を有する鋼桁の崩壊様式の分類を行った.その結果得られた主な結論は以下のようである.(1)折れ板断面桁の曲げ耐荷力は,折れ角がθ<10°の区間では,折れ角が大きくなるに従って,増加する.(2)折れ角θ=5°の折れ板断面桁の曲げ耐荷力は,I形断面桁のそれを上回り,その差は,細長比パラメータが大きくなるに従って,増大する.(3)残留応力度を有する折れ板断面桁の曲げ耐荷力は,部材細長比パラメータが大きくなるに従って,残留応力度の無い桁と比較して僅かではあるが低下する傾向がある.(4)折れ板断面桁の崩壊形式は,桁全体の横倒れ座屈崩壊,圧縮フランジのねじれ座屈崩壊(局部座屈崩壊)及びそれらが連成した座屈崩壊(連成座屈崩壊)の三つの基本的崩壊様式であることが確認された.
|