ITSを導入した中心市街地活性化のためのコミュニティーバス運行支援システムの開発

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14550537
• Research Institution: Nagano National College of Technology
• Principal Investigator: 柳澤 吉保 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (70191161)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 高山 純一 金沢大学, 工学部・土木建設工学科, 教授 (90126590)
• Keywords: コミュニティバス(循環バス)システム / バス停間OD需要予測システム / コミュニティバス(循環バス)の社会的便益 / バス路線網決定システム / 中心市街地回遊行動支援システム / ITS / P&BR乗り換え意思決定過程 / P&BR乗り換え支援システムの高度化

Research Abstract

平成15年度は、前年度の研究で行ったモデル化と、本年度実施した調査データに基づき、(1)中心市街地活性化への寄与に視点を当てた循環バス・コミュニティーバス運行支援システムの構築、(2)市街地内の回遊行動を支援するための巡回バスを中心とする公共交通システム導入の有効性の検証、(3)ITSを活用したP&BR乗り換えシステムの構築を行い、研究成果と研究課題のとりまとめを行っている。具体的成果として、(a)循環バス需要関数に、バス乗車拠点および訪問先の魅力度、訪問先までの到達のしやすさに関する説明要因を組み込み、循環バス導入の社会的便益評価を行った。その結果、規模あるいは乗り換えやすさ、移動拠点としての魅力も大きい循環バス乗車拠点をルートに含め、徒歩とバスの時間損失差が大きくなるような路線網の設定が市街地内トリップの増加に有効であることが分かった。バス利用者は乗車待ち時間損失を重視していることから、運行サービスでは運行間隔の設定が重要であることが分かった。(b)長野市中心市街地での回遊行動実態調査を行った結果、回遊手段の多くは徒歩であったが、徒歩は回遊行動範囲がある程度限られるため、移動および活動範囲が広がるような回遊行動を支援する手段の導入が必要であること、回遊行動を支援するための交通システムは駐車場整備、歩行空間の整備、巡回バスの導入要望が多く、巡回バスの導入は中心市街地活性化に寄与する可能性が高いことが分かった(c)善光寺御開帳期間中に運行されたシャトルバスを対象に、情報入手過程に基づいたシャトルバス利用意思決定過程を検討した。その結果、出発前にシャトルバス利用を決定した観光客は、出発前には、シャトルバスへの運行案内情報を重視し、走行中にはすでにシャトルバスの利用を決定しているので、「駐車場経路誘導情報」、「運行時間帯」、「運行間隔」への重みが強いことが分かった。一方、走行中にシャトルバス利用を決定した観光客は、善光寺周辺交通案内地図を重視し、さらには駐車料金や満空情報などのシャトルバス利便性に関する情報も重視していることが分かった。

Research Products

• [Publications] 柳沢吉保, 高山純一, 平本光鋭, 小林謙之: "中心市街地活性化のための路線網を考慮した循環バス最適運行計画"土木計画学研究・講演集. No.28. 109 (2003)
• [Publications] 柳沢吉保, 高山純一, 竹内加須実, 小松良幸, 轟 直希, 丸石浩一ほか: "善光寺御開帳期間中の渋滞対策への協力要請とシャトルバス利用意思決定過程に関する分析"土木計画学研究・講演集. No.28. 192 (2003)
• [Publications] 柳沢吉保, 高山純一, 小松良幸: "目的地来訪需要を考慮した循環バス路線網評価システムの構築"平成15年度土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 353-354 (2004)
• [Publications] 柳沢吉保, 高山純一, 竹内加須実: "情報の入手過程を考慮した観光期シャトルバスへの乗り換え意志決定に関する分析"平成15年度土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 335-336 (2004)
• [Publications] 柳沢吉保, 高山純一, 轟 直希, 柳澤友樹, 藤原恵介: "中心市街地回遊行動における利用手段の実態と回遊支援システムに関する選好意識分析"平成15年度土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 333-334 (2004)
• [Publications] 高山純一, 中山晶一朗, 藤原恵介, 柳澤友樹: "規制緩和後における能登地域の今後の公共交通のあり方についての調査研究"平成15年度土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 331-332 (2004)