2003 Fiscal Year Annual Research Report
人工流水による植物プランクトンの増殖抑制と水質浄化に関する研究
Project/Area Number |
14550544
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河原 長美 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (90093228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 芳朗 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (50152541)
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Keywords | 人工流水 / 植物プランクトン / 増殖抑制 / 水質浄化 / 室内実験 / 現地観測 |
Research Abstract |
流動が藻類の増殖を抑制するメカニズムを検討するために、現地河川での透過光量子量の検討と、室内実験結果のモデルによる解析を行った。 現地河川での透過光量子量の計測より、透過光量子量の平均値に関しては、流動に関係なく水深に応じて減少することが示された。流動の影響は、透過光量子量の瞬間値に顕著に現れ、数10cm/sの比較的速い流動条件下では透過光量子量が大きく変動し、水中での透過光量子量の瞬間値は、水面での光量子量を超える場合も存在した。流速が10cm/s以下の遅い場合にはそのような現象が生じないことが明らかになった。このような変動には、水面の波による光の分散と集中化とが生じていることが原因であると考えられた。水深中央付近におけるにおける透過光の変動だけでは、藻類増殖に対する大きな抑制効果は期待できないと考えられた。ところで、浅くて流速の速い河川では流動に伴い鉛直方向に混合が生じると考えられる。このような場合には、藻類が水と共に鉛直移動することにより利用可能な透過光量子量の変化が生じ、透過光量子量の変化に伴い対応する光量子量に応じた平均的な光合成量は減少する。水面での光量子量を利用できる藻類の光合成量と、水面から水底まで鉛直移動する際に水深に応じて変動する透過光量子量しか利用できない藻類の光合成量とを比較すると、鉛直移動する藻類の場合では光合成量がかなり大きく減少することも起こりうると推定された。 また、照度と水温を一定に保った円形水路において、人工的に流水を発生させ、Microcystis aeruginosaを用いて実験を行って得られたクロロフィルaならびにSSの変化を、モデルによって解析した。解析結果は、クロロフィルでは良好な再現性が得られた。モデルでは、日中と夜間の非増殖速度を区別して扱っており、解析結果によれば、流速が大きくなるにつれて日中比増殖速度は小さくなり、死滅速度は大きくなるという結果が得られた。また、流速が大きくなるにつれてスペース効果に関する係数が大きくなった。これらの効果は、流動があると藻類増殖が抑制されることを示している。なお、SSの変化に関して現象が複雑であり、更に検討が必要である。
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