2002 Fiscal Year Annual Research Report
過大な地震入力を受ける鉄筋コンクリート造建築物の損傷進行と耐震性評価
Project/Area Number |
14550563
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
久保 哲夫 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (20161664)
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Keywords | 鉄筋コンクリート構造 / 耐震構造 / 建築構造 / 耐震設計 / 地震応答 / 弾塑性応答 / 過大入力 / 損傷評価 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート造建物を対象として、強震地震動が入力する際に建物の弾塑性応答履歴によって消費されるエネルギー、建物に入力するエネルギー等のエネルギー量と建物に励起される弾塑性応答との相関を、建物をモデル化した振動系を用いたシミュレーション解析によって考察する。対象とする建物は、中・高層の多層建物を想定する。地震時水平力に対する崩壊メカニズムが望ましい形とされるはり曲げ降伏先行形とし、変形が規約されることから1自由度系モデルを検討対象モデルとする。応答スペクトルによる動的特性を同一とする各10例の模擬地震動波形アンサンブルを2種類(短周期成分卓越と長周期成分卓越の2種)の計20波形作成し、入力地震動として用いる。 建物周期を02、0.4、0.8秒となる3種の建物を設定し、弾塑性応答が塑性率で15、3、5となる塑性化度合いの地震応答となる入力レベルに対し、系の弾塑性履歴(復元力)機構によって消費されるエネルギー、減衰機構によって消費されるエネルギー、慣性力項によって消費されるエネルギー、ならびにそれらの総和として求められる入力総エネルギーを算出し、各エネルギー量と系に励起される弾塑性応答の相関性に検討を加えた。エネルギーと最大応答値の2量に回帰分析を行い、相関係数により2量の間の相関に定量評価を行った。 本年度の成果の概要は以下の点にまとめられる。 1.系で消費されるエネルギーと弾塑性応答の間には、入力地震動の特性が影響因子となり、短・長周期卓越型の模擬地震動アンサンブルに対して定性的に異なった傾向が認められた。 2.設定した塑性応答レベルに応じた消費エネルギーのばらつきの変動係数を評価尺度とすると、消費エネルギーと弾塑性応答変形の相関は、塑性変形に直接関係する履歴消費エネルギーより総消費エネルギー(総入力エネルギー)とより高い相関を有する結果が認められた。
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[Publications] 山本 純也: "R/C造建物に対する強震地震動の破壊指標と破壊過程"2002年度日本建築学会大会学術講演梗概集. 構造II. 343-344 (2002)
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[Publications] Fuming ZHANG: "Energy Balance of Buildings until Collapse"第11回日本地震工学シンポジウム論文集. 1535-1540 (2002)
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[Publications] Tetsuo KUBO: "Evaluation of Seismic Performance by The Seismic Screening Method and Its Verification by Dynamic Response Analysis on A Standard School Building in The Philippines"第11回日本地震工学シンポジウム論文集. 2043-2048 (2002)
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[Publications] 久保 哲夫: "系で消費されるエネルギーによる鉄筋コンクリート造建物の弾塑性地震応答の評価(その1:系の減衰性能をパラメータとした解析)"日本建築学会東海支部研究報告集. 第41号. 365-368 (2003)
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[Publications] 久保 哲夫: "部材強度のばらつきが鉄筋コンクリート造架構の降伏メカニズム形成に及ぼす影響"日本建築学会東海支部研究報告集. 第41号. 373-376 (2003)
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[Publications] 山下 忠道: "崩壊過程を考慮した建築構造物の地震時挙動とその復元力特性"第4回構造物の破壊過程解明に基づく地震防災性向上に関するシンポジウム. 185-190 (2003)