2002 Fiscal Year Annual Research Report
履歴減衰型制震ブレースを用いた既存RC構造物の耐震補強に関する研究
Project/Area Number |
14550580
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 春幸 東京理科大学, 理工学部・建築学科, 教授 (20339112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 智久 東京理科大学, 理工学部・建築学科, 助手 (30318208)
野村 設郎 東京理科大学, 理工学部・建築学科, 教授 (30096713)
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Keywords | 制振ダンパー / RC構造物 / エネルギー吸収 / ねじれ挙動 / 変形性能 / PC圧着構法 |
Research Abstract |
制振補強部材を簡易に外付け補強する際に,梁端部に制振ブレースを取り付ける構法の確立のために,まず取付部の破壊モードを検討する実験を行った。試験体はねじれ破壊を想定した2体,グラウトの破壊を想定した3体,PC圧着ではなく後施工アンカーにより取り付けた1体の計6体を作成し加力実験を行った。その結果の破壊モードとして以下の大きく2種類が確認された。 (1)PC梁端部のねじれ破壊 (2)取付定着台底面のグラウトのせん断破壊 (1)に関して,ブレースの荷重の分力によりねじれモーメントのみでなく梁端部の軸力が生じることが,端部ねじれ破壊性状に大きな影響を与えていることが確認された。また梁端部の鉄筋に貼付した歪みゲージによる計測データから梁の軸方向力の影響で面外曲げモーメントが生じていることが分かり,設計時に考慮すべきであることが分かった。(2)に関しては,定着台裏面にコッターを取り付けて圧着時の摩擦係数を上昇させた。破壊過程はまず初めに定着台の浮き上がりが生じ,さらに荷重を増加していくにしたがい,正載荷時はねじれによるRC躯体のひび割れが進行した。負載荷時はグラウトと定着台の境界部でのすべりによるグラウトのひび割れが生じ,最終的にはグラウトと定着板との間のせん断破壊またはグラウトの圧壊によって最大荷重に達した。また定着台裏面のコッター形状が正方のものと台形のものでグラウトの破壊性状に違いが見られ,台形状のものは比較的靭性に富んでいることが分かり,このような構法のために有効なコッター形状を提案した。 以上のことから,RC梁端部にPC鋼棒圧着により制振ブレースを取り付ける構法の基礎的資料を得ることができたため,この知見を下にRCフレームに取り付けることが可能となった.
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[Publications] 向井智久, 菊本衛, 衣笠秀行, 野村設郎: "地震時繰り返し挙動を考慮したエネルギー釣合手法に基づく層崩壊型RC構造物の最大応答変形予測"日本建築学会構造系論文集. 563号. 153-159 (2003)
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[Publications] 向井智久, 織裳慎一郎, 衣笠秀行, 野村設郎: "RC造ピロティ形式建物の制振補強手法に関する研究"日本建築学会構造系論文集. 563号. 161-168 (2003)
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[Publications] 石田陽一, 北村春幸, 向井智久, 石井匠, 藤澤一善: "履歴減衰型制振ブレースを用いた既存RC構造物の制振補強構法に関する研究(その1:RC梁端部のねじれ破壊性状)"日本建築学会大会学術講演梗概集. C2. 741-742 (2002)
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[Publications] 石田陽一, 北村春幸, 向井智久, 石井匠, 藤澤一善: "履歴減衰型制振ブレースを用いた既存RC構造物の制振補強構法に関する研究(その2:ブレース端取付部の破壊性状)"日本建築学会大会学術講演梗概集. C2. 743-744 (2002)