2003 Fiscal Year Annual Research Report
未完成及び衰退郊外住宅地の居住者心理と再適合化過程に関する研究
Project/Area Number |
14550601
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近江 隆 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 公一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40282115)
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Keywords | 郊外住宅 / 衰退化 / 高齢化 / 人口減少 / 地方中核都市 / 日常生活時間 / 空間変容 / 地区活性度 |
Research Abstract |
本年度は前年度の研究を踏まえて、以下の調査・研究を行った。 1.人口・世帯数が顕著に減少している釜石市を対象に各町丁目別の過去の人口・世帯数の変化を時系列的に把握し、典型的な町丁については土地利用変化の特徴を抽出した。その結果、古くから開発された旧中心部では人口・世帯数の減少は著しいものの土地利用は比較的安定的であるが、近年に開発された山間部の市街地では人口・世帯数の減少にともなって急激に住宅の減少と空家化が見られることがわかった。地区レベルでの空間的な変容の様相は人口・世帯数の減少と必ずしもパラレルではないと言える。 2.都市における人口減少は一面では都市の空間的ゆとりを増大させる。そこで維持管理可能性を考慮した都市の居住空間容量に関する評価指標(QOLS Quality Of Life Space)を作成し、人口が減少している52都市を対象としてQOLSの時系列変化の把握を行った。この結果、人口減少とともに空間の維持管理負担が次第に重くなっていく傾向にあり、いくつかの都市では既に維持管理の側面からみると空間が余剰となっていることがわかった。 3.仙台市を対象として、122の小学校区別にコーホート要因法により2040年までの人口・世帯数予測を行った。その結果、総世帯数の減少要因から見ると小学校区は「高齢世帯主の死亡による『死亡増加型』」「転入世帯の減少による『転入減少型』」「死亡増加 転入減少が見られる『後期転入減少型』」等の6つの類型に区分されること、中心部では転入世帯があるため総世帯数の減少は緩やかであるが、郊外部では昭和40年代の初期に開発された地区を中心として「死亡増加型」「後期転入減少型」の地区が約半数を占めることがわかった。また、典型地区について土地利用の変化状況を把握すると、住宅の滅失により発生した空家・空地は5年後でも半数が利用されずに放置されており、今後、空家・空地ストックの活用方策や管理システムを考えていくことが重要であることが判明した。
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Research Products
(2 results)