2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550603
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 茂樹 千葉大学, 工学部, 助教授 (80134352)
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Keywords | 医療・保健施設 / 福祉施設 / 病院建築 / リニューアル / コンバージョン / 用途転用 / 医療システム / 在院期間 |
Research Abstract |
第4次医療法改正が行なわれ(2001年)、病院自体の方向性が厳しく問われている。その最も大きな変革は、病院数・病床数の削減にある。一方、戦後数多く建設された病院建築は現在、建替えの時期を迎えており、組織としての病院を拡大継続して行くのか、医療以外の道を選択するか大きな分岐点になっている。 まず調査として、ここ数年で病院建築が他用途へ転用された例を海外を含め探した。事例を収集し、改修前の医療施設としての状況、転用への直接のきっかけ、改修方法の選択肢(建替えから部分的補修まで)と技術的手法、転用後の運営方針の検討事項、などについての情報を収集した。転用の目的は、わが国では医療・福祉関係の施設(具体的には福祉事務所、特別養護老人ホーム、療養型病棟など)がおもで、欧米では全く異なる種類の施設への移行も見られた。なお、本研究を実施した結果、医療施設の他用途転用と同時に、他用途建築を医療・福祉施設に転用する事例がかなりあることが分かった。政策上は上述したように医療施設の削減が目標であるが、現実には駆込み的な医療施設確保があり、手っ取り早い方法として既存建築の利用が起こっているようである。統計上は医療施設数はともかく、病床数そのものは2002年度では変化していないことが今日の事情を物語っていよう。 用途転用は近年建築のコンバージョンとして、その動向が注目されているが、医療・福祉の分野でも同様と言えよう。ただ、多種類の施設と較べ、構造に関する基準のハードルが相当に高い。廊下幅や階段の蹴上げ高などの変更は改修工事では難しく、欧米での自由な転用と比較し、医療・福祉施設のコンバージョンの促進に障害となっている。既存施設を有効利用するには、コンバージョンは有力な手法であるが、基準上の緩和的な措置がなければ、わが国での普及は難しいと思われる。 一方、公的医療施設はコンバージョンの技術的な側面が解決されても、建設時の補助金の出所や目的などの縛りから、転用を難しくしている面もある。現在市町村合併が盛んに議論されている中、公的医療・福祉施設の余剰現象が必至である。既存資源の活用の面から、政策上のソフトな解決が待たれることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)