2003 Fiscal Year Annual Research Report
成熟社会のまちづくりを支援する新たな財源に関する研究
Project/Area Number |
14550606
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高見沢 実 横浜国立大学, 工学研究院, 助教授 (70188085)
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Keywords | まちづくり / 財源 / ロッタリーファンド |
Research Abstract |
地方分権が進み都市計画法も改正されて、これからは、意欲のある市民や地域の担い手が創造的なまちづくりに携わることのできる社会の構築が求められている。国や地方自治体の役割も、そうした意欲を引き出し支援するものへと転換すべき時代である。本研究は、こうして成熟社会へと向かいつつある日本の現状を踏まえて、創造的なまちづくりを支援する新たな財源の実態と可能性につき調査研究を行った。 昨年度の成果を踏まえて、本年度はイギリスのロッタリーファンドに特に着目してさらに深く制度の内容およびその運用につき現地調査も含めた調査研究を行った。その結果、ミレニアムファンドについては各都市における枢要なプロジェクトや国家的な観点から重要な環境や教育、都市再生等に関するプロジェクトを運用能力のある主体が中心となり一定のマッチングファンドも獲得しながら熱意をもって進められたこと、ヘリテージファンドでは国家的巨大プロジェクトからローカルな小さなプロジェクトまで多様なプロジェクトにつき多くの国民・市民・専門家が参画して後生に残る意義深い成果をあげていること等が具体的なケーススタディーにより明らかになった。 日本においてこの種の財源はいまだみられない。こうした主旨に合った財源は規模も小さく分散している。また、宝くじ収益金による公共事業等は行われているが、参加自治体は限定され専門性は特になく地方財政を補完する手段でしかないのが現状である。中心市街地活性化法による省庁横断的な取り組みも1つ1つの事業は個別補助金でしかない。今後は、イギリスのスタディーを通して明らかになった新たな財源とそれを用いたまちづくりの実践に学びながら、公共事業だけに依存しない成熟社会の財源について1つ1つ提案し実現していくことが課題である。
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