2003 Fiscal Year Annual Research Report
自動車利用を抑制した環境負荷の小さい居住地システムに関する日欧比較研究
Project/Area Number |
14550621
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 滋 姫路工業大学, 環境人間学部, 教授 (50165891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中林 浩 平安女学院大学, 生活環境学部, 教授 (80180347)
海道 清信 名城大学, 都市情報学部, 教授 (80278332)
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Keywords | カーフリーハウジング / サステイナブルコミュニティ / コンパクトシティ / TDM=交通需要管理 / カーシェアリング / 駐車場設置義務 / エコハウジング |
Research Abstract |
ヨーロッパで実現しているカーフリーハウジング(クルマに依存しない住宅団地)についてサステイナブル・コミュニティ実現のための手法として着目し、平成13〜14年度にかけて12の海外事例調査を実施した。平成15年度はその調査資料によって分析と考察を進めるとともに、日本における類似的事例調査を実施して比較考察をおこなった。 それぞれの事例の立地、規模、住戸形態、テニュア、居住階層、交通条件、エコロジカルな条件等はさまざまであり、カーフリーの度合いも異なるが、良好な住環境とアフォーダブルな住宅、親密なコミュニティ、環境への負荷の少ないライフスタイル、クルマに依存しない交通体系などサステイナブル・コミュニティ実現のためのモデル的手法として高く評価できる。その実現要件として、交通条件(カーシェアリングなど)、計画過程への住民参加(コーポラティブなど)、住民コミュニティの成熱度などが重要な要素として指摘できる。中でも、住宅への駐車場設置義務制度が直接的な実現要因となっているが、日本の保管場所確保義務制度とは異なること、カーシェアリングの制度が根付いていないことから、日本でもヨーロッパと同じ手法でカーフリーハウジングを導入するのは困難である。 日本における適用可能性については、日本の条件にあったアプローチが必要である。我々は実際にクルマの利用が制限されている事例からその条件を探ろうとした。本年度はその研究調査の第一歩として、歴史的高密市街地を形成している郡上八幡、クルマでアクセスできない斜面居住地の多い長崎市、1970年代からクルマの進入を禁止するノーカーゾーン制度を続けている大阪南港ポートタウン団地について現地事例調査を実施した。日本の事例は、ヨーロッパの事例のように積極的にカーフリーをめざすものではなく、地形その他の理由によって止むをえずクルマが使えないというものではあるが、良好な居住環境と近隣コミュニティを維持しているというカーフリーハウジングとしての特性を備えており、カーシェアリングについても一定の適用可能性を見いだすことができた。この日本へのカーフリーハウジングの適用可能性の研究は今後もさらに展開していきたい。
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