2003 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済化のもとでのアセアン大都市圏周縁部の居住形態の変動の形成メカニズム
Project/Area Number |
14550629
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
福島 茂 名城大学, 都市情報学部, 教授 (10251349)
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Keywords | アセアン大都市圏 / 居住形態形成メカニズム / 低コスト住宅政策 / グローバル経済化 |
Research Abstract |
平成15年度は、クアラルンプール大都市圏周縁部の居住世帯(既婚)を対象として、異なる世代・階層がどのような社会経済的背景や住宅市場のもとで、どのような居住プロセスを経て今日の居住形態を形成してきたかを明らかにするために、居住アンケート調査(ポイントサンプリング調査:300サンプル調査/無記名調査でプライバシーに配慮)を行った。主な調査項目は、(1)社会経済属性と就業・家計の変動(産業化やアジア経済危機のインパクト)、(2)居住履歴と転入・住居選択理由、(3)住環境(所有形態、構造材質、住宅タイプ、敷地、床面積、部屋数、ユーティリティ、インフラ)、(4)通勤事情、(5)住宅費・住宅取得・改善方法(購入額・資金調達方法、ローン返済額、家賃を含む)、(6)住宅の将来計画などである。現在、分析中であるが、以下の諸点が既に明らかになっている。 ●経済成長のもとで就業形態と住宅居住形態のフォーマル化が著しい。 ●大卒ホワイトカラーは一戸建て住宅・テラスハウス、短大・専門学校などの事務職・中間エンジニアなどもテラスハウスに住むケースが多い。小卒・中卒のインフォーマルセクター就労者や工場労働者は木造アパート、低コストフラット住宅、スプロール型集落の簡易住宅、スクォッター住宅居住など、社会階層(学歴・就業パターシ)と居住形態には強い関係がある。 ●低コスト住宅政策は低所得者層の居住形態のフォーマル化に貢献する一方、その低コスト住宅の購入は一種の財テク手法にもなっている。年の低コスト住宅の上限価格の大幅改定も、もともとの価格が1983年以来据え置かれた低いものであり、さほど影響がない。 ●定住率の高まる低コスト・中低コストのテラスハウスは1990年代後半には新規供給されなくなり、この価格帯ではフラット住宅が大半をしめる。しかし、低コストフラット住宅では適切な維持管理がされておらず、住環境が悪化している。 ●アジア経済危機の影響は短期間にとどまり、住宅ローン利用者も融資条件の見直しなどで対応することで住宅は維持されている。
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Research Products
(1 results)