2004 Fiscal Year Annual Research Report
信仰に係わる建築空間の志向過程に関する理論的および建築史的研究
Project/Area Number |
14550643
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Research Institution | Fukuoka International University |
Principal Investigator |
山本 輝雄 福岡国際大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10038002)
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Keywords | 浄土真宗 / 信心 / 場所 / 二十四輩巡拝寺院 / 念仏 / 志向 / 建築空間 / 建築史 |
Research Abstract |
本年度は、全国における「浄土真宗の信心の場所」についての建築史的研究が中心の課題である。特に、建築史的研究の殆ど及んでいない所謂「関東二十四輩寺院」における信仰空間の在り方についての現地調査が主な調査である。夏休み中に幾度も全体的な調査を敢行したが、その中で茨城県における江戸時代建設の本堂はじめ伽藍構成の在り方が保全される茨城県那珂川上流域の茨城県那珂郡美和村(現在は常陸太田市内)にある3寺院(善徳寺、照願寺と宗圓寺)と偶々聞き取り調査の中で見い出した久慈郡大子町の願誓寺については、伽藍構成の在り方の調査や略平面図も採らせて頂いた。それらの建築史的な評価は、江戸時代後期における貴重な古絵図の載る『二十四輩順拝圖會』(九州大学附属図書館蔵本を使用)などとの比較を通して、また、これまでに筆者が調査研究や研究発表を行なってきた九州地域における浄土真宗寺院との比較研究を行なうことによって、全国を広く眺めた場合の評価ができた、と考えている。この研究のまとめはすでに本年度行なってはいるが、研究発表は来年度となる。「信心に関わる場所としての浄土真宗寺院についての一様相ー茨城県における二十四輩巡拝寺院の建築史的調査よりー」として、史料を付けて来年7月頃には公表予定である。 併せて「念仏に係わる場所の志向過程」についての理論的研究への準備作業としては、真宗聖典とされる書や江戸時代における浄土真宗の学者僧侶達の「念仏に関わる場所」についての論考などに目を通してはいるが、筆者が目指す研究対象のみを中心課題として取り組んだものは、今の所見い出してはいない。しかし本年度も京都へは頻繁へ出向き、真宗教学関係学会への出席や真宗系各大学図書館での閲覧を繰り返した。 なお、別紙に掲げる本年度の研究発表6編は、昨年度における調査と研究についての公表が殆どである。
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