2005 Fiscal Year Annual Research Report
アイヌ民族の住居(チセ)に関する建築史的研究-北海道における平地住居の成立過程-
Project/Area Number |
14550646
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Research Institution | HISTORICAL MUSEUM OF HOKKAIDO |
Principal Investigator |
小林 孝二 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (80142090)
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Keywords | チセ / 竪穴住居 / 平地式住居 / 炉 / 竈 / セム / 倉 / 小屋組 |
Research Abstract |
平成17年度については、前年度に引き続き、発掘報告書の収集、北海道内・道外の発掘現場の実地調査、国内外における中世期の住居に関連する文献資料などの資料収集整理をさらに進め、同時に、アイヌ文化期における平地住居の変遷過程と、展開を促したと考えられる要素(変容促進因子)を抽出し、これらを整理し、北海道における平地住居の成立とその展開過程について考察した。特に、収集した発掘報告書の中から、アイヌ文化期における竪穴を伴わない平地式建築址を抽出し、分析を行った。 平地式建築址が確認出来る地域は、平取町、恵庭市、千歳市の3市町に限られ、およそ250件の建築址を確認出来た。これらの内、炉(焼土)跡を建物址内に持つものを住居と認定し、更にほぼ完形で発掘した例として61件の(住居址)建築址を抽出した。これらの住居址の概要は以下の通りである。 1,住居址の数と年代:平取町15件(Ta-b下・1667年以前)、恵庭市:19件、千歳市27件(Ta-a下・1739年以前)。アイヌ文化期における詳細な年代区分の設定は今後の課題である。 2,面積:平均=32.6m^2、最大=74.9m^2、最小=7.4m^2。40m^2以内の住居が8割を占める。 3,平面形:単室方形、単室長方形、付属屋付方形、付属屋付長方形および変形のおよそ5種類の平面形に分類することが出来る。さらにこれらの分類の中で、柱間が一定するものと柱間が一定せず乱雑なものに区分出来る。付属屋付の住居の場合、付属屋は、主屋にくらべて柱穴径が小さく、柱穴の深さも浅い傾向があり、主屋を先行して建築し、付属屋部分を増築・附加したことが推定出来る事例が多い。また、変形の住居址については、上部構造(小屋組)の推定が困難なものもあり、上屋を持った住居以外の構造物である可能性も考えられる。
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Research Products
(1 results)