2002 Fiscal Year Annual Research Report
結晶場制御とダウンコンバージョンによる希土類イオンの量子カッティング
Project/Area Number |
14550662
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小玉 展宏 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (90282152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山家 光男 岐阜大学, 工学部, 教授 (90159202)
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Keywords | 分光 / 結晶場 / 量子カッティング / 希土類 / 真空紫外 / ダウンコンバージョン / 結晶合成 / 構造解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、結晶場制御による希土類イオンのダウンコンバージョン過程を利用した可視量子カッティングを発現する新規な蛍光結晶材料の作成と量子カッティング過程、メカニズムの解明である。本研究では、2種の希土類イオンの組み合わせを考え、結晶場を変化させて第1の希土類イオンの真空紫外光子の励起エネルギーを交差緩和と直接エネルギー移動の2ステップのエネルギー移動によって第2の希土類イオンに移し、可視2光子発光の量子カッティングを発現させることを試みる。本年度は、これまで得た結晶場対称と希土類イオンの4f^<n-1>5d^1、4f^n励起準位の分裂変化に関する知見を基に、希土類イオンの周囲の結晶場を考え、真空紫外光子を吸収し、量子カッターとなる構成成分としてGd^<3+>を、発光イオンとしてEu^<3+>を選択し、2種の希土類を含む新規な結晶を合成するとともに、Gd^<3+>-Eu^<3+>対による量子カッティングの発現の有無とその量子効率、メカニズムを調べ、以下の知見、成果を得た。 1.Gd^<3+>を格子の基本成分とする結晶場対称の異なるフッ化物KGd_3F_<10>とKGd_2F_7にEu^<3+>をした新しい多結晶を合成した。Eu^<3+>:KGd_3F_<10>、Eu^<3+>:KGd_(2)F_7において、真空紫外(202nm)励起で2ステップエネルギー移動のダウンコンバージョンによる可視赤色域での量子カッティングが発現することを見い出した。量子カッティング過程における交差緩和効率、量子効率のEu^<3+>濃度依存を明らかにし、2at.%Eu^<3+>:KGd_3F_<10>で最大の交差緩和効率0.6、量子効率160%を得た。また交差緩和、量子効率の変化を結晶構造、希土類イオン間距離の変化に基づき考察し、量子カッテイング効率を支配する希土類イオン間相互作用が最大となるEu^<3+>濃度を蛍光寿命から見い出した。 2.低対称結晶場で真空紫外域で透過率の高いGd^<3+>を基本格子とするKLiGdF_5にEu^<3+>を添加した新規な多結晶で、真空紫外光励起に対して、Gd^<3+>が量子カッターとなるダウンコンバージョンによる可視量子カッティングが発現することを見い出し、202nm励起により2at.%Eu3^<3+>:KliGdF_5で最大の量子効率140%を得た。量子カッテイングを支配する交差緩和効率の真空紫外励起光子エネルギー(202nm,196nm)の依存は、Gd^<3+>の励起準位間とEu^<3+>の基底-発光始準位間のエネルギ差の一致の度合いで決まることを明らかにした。また交差緩和効率、量子効率のEu^<3+>濃度依存を明らかにするとともに、蛍光寿命から評価されるイオン間相互作用の観点から考察した。 3.Eu^<3+>、Ce^<3+>添加の新規メリライト結晶で青/橙色の長残光を見い出し、それが電子/正孔対の生成、熱誘起の正孔ホッピングとトンネリングによる再結合と非輻射過程によることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nobuhiro Kodama: "Mechanism of long-lasting phosphorescence of Eu^<2+> in melilite"Radiation Effects & Defects in Solids. 157. 915-919 (2002)
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[Publications] Mituso Yamada: "Mechanism of long-lasting phosphorescence process of Ce^<3+>-doped Ca_2Al_2SiO_7 melilite crystals"Physical Review B. 65. 2351081-23510811 (2002)