希土類酸化物-窒化ケイ素系化合物セラミックスの創製と材料科学的評価

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14550671
• Research Institution: Sophia University
• Principal Investigator: 板谷 清司 上智大学, 理工学部, 助教授 (90129784)
• Keywords: 国際研究者交流 / オランダ / Y系酸窒化物 / Gd系酸窒化物 / Yb系酸窒化物 / 熱膨張係数 / 高密度焼結体 / ビッカース硬度

Research Abstract

希土類酸化物-窒化ケイ素系酸窒化物の諸性質を解明するため,本年度は(i)昨年度合成に成功したY_2Si_3O_3N_4以外のY系酸窒化物の合成法を検討し,得られた知見を基にGdおよびYb系酸窒化物を合成した。また,これらの化合物の熱膨張係数を明らかにしたのち,常圧焼成法およびホットプレス法によってセラミックス(焼結体)を作製して力学的性質を調べた。概要を以下に示す。
(i)Y系酸窒化物の合成条件の確立
出発物質にSi_3N_4,SiO_2およびY_2O_3を用いて,これらの化合物を化学量論比になるように混合したのち,Y_4Si_2O_7N_2およびY_5(SiO_4)_3Nの合成条件を検討した。その結果,最適な加熱条件はY_4Si_2O_7N_2の場合が1600℃,5h,またY_5(SiO_4)_3の場合が1450℃,2hであることを明らかにした。
(ii)GdおよびYb系酸窒化物の合成条件の確立
(i)の知見を基に,Gd系酸窒化物としてGd_2Si_3O_3N_4およびGd_4Si_2O_7N_2の合成条件を,またYb系酸窒化物としてYb_2Si_3O_3N_4およびYb_4Si_2O_7N_2の合成条件をそれぞれ検討した。その結果,Gd系酸化物を合成するための最適な加熱条件は1600℃,5hであることが分かった。一方,Yb系酸窒化物の場合,Yb_4Si_2O_7N_2は1600℃,5h、加熱すると得られたが,Yb_2Si_3O_3N_4の場合には単一相の化合物が得られなかった。この化合物の合成条件は今後さらに検討を行う予定である。
(iii)各種化合物の熱膨張係数の解明
X線法により測定したY_4Si_2O_7N_2の熱膨張係数(300-1050K)は8.395×10^<-6>K^<-1>,またGd_2Si_3O_3N_4およびGd_4Si_2O_7N_2の熱膨張係数はそれぞれ8.119×10^<-6>K^<-1>および14.775×10^<-6>K^<-1>であった。これらの化合物の熱膨張係数はβ-Si_3N_4の熱膨張係数(3.6×10^<-6>K^<-1>)よりも2倍以上高いもであった。
(iv)高密度焼結体の作製と力学的性質の評価
常圧焼成法やホットプレス法によって相対密度が95%以上の高密度なY_4Si_2O_7N_2およびY_5(SiO_4)_3N焼結体が得られた。これらの焼結体のビッカース硬度は10-15GPaの範囲にあった。

Research Products

• [Publications] Shukiko TANAKA: "Effect of silicon nitride addition on the thermal and mechanical properties of magnesium silicon nitride ceramics"Journal of European Ceramic Society. 24. 2163-2168 (2004)
• [Publications] Kiyoehi ITATANI: "Densification and microstructure developments during the firing of the compounds in the Si_3N_4-SiO_2-Y_2O_3 system"Key Engineering Materials. 印刷中.